※日経トレンディ 2019年7月号の記事を再構成
初のW杯出場を決めた「ジョホールバルの歓喜」で決勝点を叩きこんだ“野人”岡野雅行と、クラブ一筋を貫いた“ミスターセレッソ”森島寛晃。かつてのW杯戦士の2人は今、クラブのマネジメントに奔走中だ。なぜ経営者の道を歩むことになったのか。同級生同士がJリーグビジネスをとことん語り合った。
岡野雅行(以下、岡野) 引退後、多くのJリーガーは指導者か解説者になります。なので、僕も経営者になるなんて1ミリも考えていませんでした。GMになったきっかけは5年前、ガイナーレ鳥取で現役を引退したときに、社長の塚野(真樹氏)から経営スタッフとしてチームに残ってほしいと打診されたこと。当時、ガイナーレはJ3に降格して、経営的にもピンチでした。地方のクラブが、下のカテゴリーに落ちて元気が無くなってしまうのは、Jリーグ全体にとって良くない。山陰を盛り上げようと飛び込みました。
森島寛晃(以下、森島) 僕は昨年12月にセレッソ大阪の社長に就任しましたが、もともと引退後は指導者になりたいと思っていたんです。2008年に引退してからは、サッカーの普及や広報活動を行うセレッソのアンバサダーとして活動してきましたが、16年からはチームの編成やスカウティングにも関わるようになり、より指導者に近い立場に移っていました。だから、社長就任を打診されたときには、誰よりも僕が一番驚きました。
「モリシが社長になってうれしい。Jリーガーたちの希望になれる」
岡野 僕はモリシ(森島)が社長になると聞いたときはうれしかったですね。サッカーもセレッソの歴史も知っているモリシが社長になることは、経営的にもメリットがあるし、何よりこれからのJリーガーに(経営者になる道があるという)夢を与えるんじゃないかと思います。クラブの成績が低迷すると、ファンからブーイングが起こることもあります。でもそこで、セレッソ一筋で、謙虚な人柄で愛されてきたモリシが出れば、ファンも「何も言えねえや」となるでしょう(笑)。
森島 そうかな!?
岡野 僕なんかは、ヤバいと思ったら呼ばれる前にファンの前に立つようにしてるけどね。「岡野出てこい! ……あ、もういた」みたいな(笑)。
森島 岡ちゃん(岡野)が言うように、これからのJリーガーに夢を与えたいという気持ちはあります。そのためには何より結果を出さないといけない。「森島が社長になっても何も変わっていないじゃないか」と思われないようにしたいです。
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