基地局が少ないのに他社と同等の人口カバー率を実現できるカラクリとして野田氏が挙げたのが「Massive MIMO」という技術だ。これは1つの基地局に最大128本のアンテナを組み込み、端末の位置を把握して電波を狙い撃ち(ビームフォーミング)する技術。これにより従来の5分の1の基地局数で同じエリアをカバーできるとする。「それぞれの端末に専用の帯域を割り当てるため、通信の快適性も増す」(野田氏)

1つの基地局で広いエリアをカバーできるMassive MIMO
1つの基地局で広いエリアをカバーできるMassive MIMO

上空から広範囲に電波を降らす大胆な計画も

 さらに広範囲のエリアをカバーする技術として、ソフトバンクが構築を目指しているのが「HAPS(High Altitude Platform Station)」。成層圏に基地局機能を有する無人飛行機を飛ばすというものだ。1基で直径200キロメートルのエリアをカバーでき、約40基あれば日本列島を覆うことができるという。

1つの基地局で広範囲をカバーできる
1つの基地局で広範囲をカバーできる

 ソフトバンクが米国の無人飛行機メーカーAeroVironmentと開発した「HAWK30」は全長約78メートルの翼に10個のプロペラを搭載。翼の上に設置されたソーラーパネルを動力源に、数カ月間飛び続けることが可能だ。成層圏は雲の上なので太陽光を常時受けられるうえ、1年間を通して比較的風が穏やかに吹いているからだという。

 成層圏と聞くと地上から随分と離れているように思えるが「上空約20キロメートル程度で、携帯電話の電波が届く範囲」(野田氏)。そのうえ、今後増えるであろうドローンの制御には最適という。従来の基地局は地上に向けて電波を発しているため、上空にあるドローンが電波を捕捉するのが難しいケースもある。しかしドローンよりさらに高い位置から電波が降るHAPSなら、より安定的な制御が可能になる。23年ごろのサービス提供を目指すとのことだ。

ドローンなど飛行体にも電波を届けやすい
ドローンなど飛行体にも電波を届けやすい

 「ソフトバンクは通信キャリアからプラットフォーマーになる」(野田氏)。5G時代に必要なサービスを蓄積し、業態を大きく変えようと意気込んでいる。

(写真/中村 宏)