次世代通信規格「5G」の本格展開を2020年に控える今、注目されているのは携帯大手の取り組みだ。多彩な企業との連携に活路を見いだすか、人口減が進む地方での利用を探るか。従来の10倍とも20倍ともいわれる高速通信を生かしつつ、これまでにない用途を生み出すための各社の取り組みが加速している。

NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手携帯3社が5Gの用途創出に力を注いでいる (写真/Shutterstock)
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手携帯3社が5Gの用途創出に力を注いでいる (写真/Shutterstock)

NTTドコモは「協創」を軸にサービス開拓

 2019年4月、総務省は各通信事業者に5G用の周波数帯の割り当てた。9月にNTTドコモが試験サービスを始めるのを皮切りに、20年には各社が5Gの本サービスを開始する。高速大容量・低遅延・多接続という5Gの特徴を生かし、社会にインパクトを示すことはできるのか。サービス開始へのカウントダウンが進む中、通信各社の方針が徐々に見えてきた。2019年5月29日に開催された無線通信に関する研究イベント「ワイヤレス・テクノロジー・パーク2019」の講演から、5Gが生み出す変化の行く末を読み説く。

 NTTドコモは、パートナー企業との「協創」を軸とした取り組みで5Gのサービスを拡大する考えだ。同社の無線アクセス開発部長である安部田貞行氏は、まだ5Gの具体的なサービス像が見えていない状況であると前置きしながらも、5Gではパートナー企業との協創が重要なポイントになると話す。

NTTドコモが展開する「5Gオープンパートナープログラム」では、2600を超える企業や団体が参加、158のトライアルを進め5Gのサービス創出を進めている
NTTドコモが展開する「5Gオープンパートナープログラム」では、2600を超える企業や団体が参加、158のトライアルを進め5Gのサービス創出を進めている

 同社では18年2月より、パートナー企業と5Gを活用した新しいサービスやビジネスを創出する「5Gオープンパートナープログラム」を展開している。既に2600を超える企業や団体が参加し、158件のトライアル案件を実施している。またプログラムから生まれたアイデアを実際に試すための場として「ドコモ5Gオープンラボ」や「ドコモオープンイノベーションクラウド」といった、実際に5Gとクラウドを活用した技術検証のための施設やサービスを用意している。

 そうしたプログラムによりサービス開発が進めば、5Gの「ユースケースが広くなる」(安部田氏)。そのときに求められるのは、多くの通信機器ベンダーに、さまざまな用途に特化した通信機器を開発してもらい、それを1つのネットワークで活用することだと話す。

NTTドコモは国内外の携帯電話会社と「O-RAN Alliance」を設立、従来難しかった複数のベンダーの機器を、1つのネットワークで利用可能にする仕組みの構築を進めている
NTTドコモは国内外の携帯電話会社と「O-RAN Alliance」を設立、従来難しかった複数のベンダーの機器を、1つのネットワークで利用可能にする仕組みの構築を進めている

 そこでNTTドコモをはじめ、世界5つの携帯電話会社を中心として立ち上げたのが「O-RAN Alliance」(Open Radio Access Network Alliance)になる。これはよりオープンでインテリジェントなネットワーク構築を目指したアライアンスで、従来のように特定のベンダーの機器に限られるのではなく、複数のベンダーの機器を1つのネットワークの中で利用可能にする取り組みになるという。

 実際にワイヤレス・テクノロジー・パークの会場では、NTTドコモがO-RANに準拠した複数の通信機器ベンダーの無線装置やアンテナを用いて、ネットワークを構築している様子を披露していた。

NTTドコモ無線アクセス開発部長の安部田貞行氏。5Gでもパートナー企業との協創が重要になると話している
NTTドコモ無線アクセス開発部長の安部田貞行氏。5Gでもパートナー企業との協創が重要になると話している
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