数々のキャンペーンを打ち出し、勢いづくQRコード決済事業者。一方クレジットカード会社も負けてはいない。先行者として優位な立場を生かしてサービス強化に余念がない。その中には、全国津々浦々に張り巡らした加盟店ネットワークの磨き上げも含まれる。クレジットカード会社が描く「次の一手」を追う。
「お支払いはカードですか、交通系電子マネーですか、それとも“Smart Code”ですか」――。乱立するQRコード決済サービスを共通ブランド化することで、消費者の使い勝手を高める新サービスが、2019年8月にも始まる。仕掛け人は、クレジットカードの国際ブランドを運営するジェーシービー(JCB)だ。
Smart Codeは、いわば「交通系ICカード全国相互利用サービス」のQRコード決済版。全国に10種類ある交通系電子マネーの場合、例えば関東の「Suica」を使って大阪の「ICOCA」エリアで鉄道に乗車でき、「SUGOCA」エリアでは共通ロゴを掲げた店舗で買い物もできる。この思想をQRコード決済の世界に持ち込み、次世代のキャッシュレス決済プラットフォームを構築しようともくろんでいるのだ。
交通系電子マネーのように、QRも共通ブランド化
既にSmart Codeへの参加を表明しているのがメルペイだ。「他の大手QRコード決済事業者とも交渉している。数社が順次参加し、Smart Code対応店舗で決済可能になる見通しだ」。JCBでSmart Code事業を統括するブランド事業統括部門モバイルペイメント部Smart Code室室長の川口潤氏はこう明かす。19年度末までに決済端末ベースで約10万台規模へとネットワークを広げる計画だという。JCBが音頭を取って普及を進める後払い式電子マネー「QUICPay」は現在約90万台普及しており、早期に同等規模にSmart Codeを育てる考えだ。複数のQRコード決済への対応をアピールするため、対応店舗には共通ブランドのロゴをステッカーなどで掲示する。
決済事業者が多数登場し選択肢が広がった一方、加盟店開拓が始まったばかりの現状では、消費者はどの店でどの決済手段が使えるのか確認する手間をかけている。Smart Codeが普及すれば、大半のクレジットカード対応店舗で「VISA」「Mastercard」「JCB」のいずれも使えるのに近い利便性が、QRコード決済でも実現する。消費者のストレスが改善されることになりそうだ。
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