大手チェーンではなくても、キャッシュレス決済のみに対応する店舗が目立ち始めた。“完全キャッシュレス”は運営上のメリットが大きいからだ。2つの記事でカフェ「ROBOTS.COFFEE」と新型銭湯「BathHaus」を紹介する。前者では、完全キャッシュレスとロボットを組み合わせ、省人化と客の利便性向上を実現している。

カフェ「ROBOTS.COFFEE」では、決済方法は、電子マネーなどのキャッシュレスに限定していることを示す案内をカウンター前に掲示している
カフェ「ROBOTS.COFFEE」では、決済方法は、電子マネーなどのキャッシュレスに限定していることを示す案内をカウンター前に掲示している

 ファッションや雑貨などの問屋が多く軒を連ねる東京・馬喰町。その一角にロボットがコーヒーをいれるカフェ「ROBOTS.COFFEE」がある。

 入店してまず目に留まるのは、カウンターの前にあるオーダー端末。その右上には、現金に大きな×印が付けられ、クレジットカードと電子マネーに〇を付けた案内が掲示されている。同店は完全キャッシュレス店舗で、現在、クレジットカードや交通系ICカード、非接触決済の「iD」「QUICPay」、コード決済の「PayPay」が使える。近いうちに、「au Pay」と主に訪日中国人観光客が利用する「支付宝(アリペイ)」にも対応する。

ロボットと完全キャッシュレスがもたらすメリット
  1. 1人でも運営できる
  2. ジューススタンドのような狭いスペースに出店できる
  3. 店員を短期間で教育できる
ROBOTS.COFFEEのカウンター前に設置された注文画面。画面にタッチして商品を選択する
ROBOTS.COFFEEのカウンター前に設置された注文画面。画面にタッチして商品を選択する
商品を選んだら、次に決済方法を選択する
商品を選んだら、次に決済方法を選択する
決済端末にスマホやカードを近づけると、決済が完了する
決済端末にスマホやカードを近づけると、決済が完了する

 注文には、まず画面で商品を選んで、表示された金額を確認する。次に表示された決済方法から1つ選択し、決済端末の読み取り部分にスマホやカードをかざせば、完了する。注文内容は、厨房内のロボットに送られ、店員はタブレットでそれを確認する。店員がドリッパーにろ紙をセットしミルの下に置くと、ロボットが必要なコーヒー豆の量を自動で調整し、その都度ひいてからろ紙の中に落とす。店員がスタンドにセットすると、ロボットがゆっくりと湯を注ぎ、コーヒーが完成する。

注文を受けたら、店員がコーヒーミル下にドリッパーを置く。コーヒー豆の粉は自動的に落ちてくる
注文を受けたら、店員がコーヒーミル下にドリッパーを置く。コーヒー豆の粉は自動的に落ちてくる
バリスタのハンドドリップの技をプログラミングされたロボットが、ドリッパーに湯を注ぐ
バリスタのハンドドリップの技をプログラミングされたロボットが、ドリッパーに湯を注ぐ

 同店を運営するのは、電気自動車用の充電器などを開発するベンチャー企業、ジゴワッツ(東京・中央)。ロボットとキャッシュレス決済システムを自社開発し、2018年11月1日に店をオープンした。「0号店」と位置付けて、営業しながら実証実験を行っている。同社の柴田知輝社長は、「ロボットとキャッシュレス決済を組み合わせることで、本格的なドリップコーヒーをリーズナブルな価格で提供できる」と語る。同店のホットコーヒーは、380円(税抜き、以下同じ)、アイスカフェオレは490円。セルフ式のカフェチェーンよりは高額だが、バリスタのハンドドリップを売りにする専門店よりは安価だ。

 通常、おいしいコーヒーをハンドドリップでいれるには、経験豊富なバリスタによる熟練の技が重要だ。そこで、千葉県鴨川市でカフェ「カモガワ珈琲」を運営する、バリスタの中村孝一氏の協力を得た。中村氏のハンドドリップの技をプログラミングして、人間のバリスタに近い味をロボットにより実現している。実際にロボットは、コーヒーの粉に湯を注いで30秒蒸らした後、次に湯で500円玉サイズの円をゆっくり描きながら注ぐなど、繊細に作業していた。

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