企業や個人間で商品を共有するシェアリングサービスの利用者が増えている。クルマ、ファッション、スペースと対象物は広がり、2018年度の市場規模は過去最高に。シェアリングサービスの運営者に協力することで、高級車に実質無料で乗れるサービスも間もなく登場する。

BMWやレクサスに「実質無料」で乗れるサービスが登場
BMWやレクサスに「実質無料」で乗れるサービスが登場

 BMWやレクサスといった高級車を、実質無料でマイカーのように使える――。そんなにわかには信じがたい話がシェアリングサービスの世界で現実のものとなろうしている。それが、ディー・エヌ・エー(DeNA)とSOMPOホールディングスの共同出資会社、DeNA SOMPO Mobility(以下、DeNA SOMPO モビリティ)が2019年8月からのサービス開始を目指している「0円マイカー」だ。

0円マイカーの仕組み
0円マイカーの仕組み
「0円マイカー」のオーナーは駐車場代と前月の実績に応じてポイントを付与され、その範囲内で実質無料でクルマを使える

 上の図のように、通常のカーシェアリングとは異なる「0円マイカー」ならではの仕組みは、駐車場を提供してクルマの“オーナー”となる個人の存在だ。といっても駐車場に置くクルマは、DeNA SOMPO モビリティのレンタカー。同社は自社で運営するカーシェアサービス「Anyca(エニカ)」を使って、そのレンタカーを貸し出す。収益の一部が駐車場を提供するオーナーにエニカで使えるポイントとして還元される。つまり、通常のカーシェアではユーザーは自分のクルマを貸すが、この新サービスで、オーナーが貸すのは実のところ駐車場だ。オーナーと言ってもクルマではなく、駐車場の“オーナー(貸し手)”と考えた方が分かりやすい。そしてクルマの洗車や清掃といった管理を担う。

 エニカの会員登録数は、19年5月時点で25万人。登録されているクルマの数は8000台(700車種)だ。東京都23区内で人気車種のマイカーを貸し出している利用者が、カーシェアで受け取る金額の平均は月額2万5000円にもなっている(1回以上シェア経験がある上位100種の人気車種のオーナー、18年の実績値)。

 「クルマを貸すことで、駐車場代をまかなっているエニカの利用者が結構な数いることが、『0円マイカー』発案のきっかけとなった」とDeNA SOMPO モビリティ 事業本部 マーケティング部の宮本昌尚部長は話す。カーシェアで駐車場代をまかないたいというニーズがあるのなら、駐車場を提供することで恩恵を受ける「0円マイカー」のオーナーにもニーズがあると考えた。この仕組みが機能すれば、DeNA SOMPO モビリティにとっては、「0円マイカー」のオーナーが増えることで、レンタカーの設置場所が増えるだけでなく、ユーザーの開拓も進む可能性がある。オーナーたちは自らに付与されるポイントを増やしたいはずで、周囲へのクチコミに協力してくれれば、事業拡大の正のサイクルが生まれることも、この仕組みの面白い部分だ。

駐車場提供でポイントがもらえる

 「0円マイカー」のオーナーに還元されるのは、エニカで利用できるポイントだ。毎月の駐車場代金に加え、その駐車場に置かれたクルマのエニカでの利用実績に応じ、売り上げの10%相当のポイントが付与される。

 例えば、「0円マイカー」のオーナーの駐車場代金が月額4万円で、駐車場に置かれたクルマの前月の売り上げが10万円ならその1万円分を加えて、5万円相当のエニカのポイントが付与される。

 「0円マイカー」として用意されたクルマのレンタル料金は2段階に分かれていて、BMW3シリーズのような「プレミアム」では1時間1200円から。プリウスなどの「ベーシック」で1時間800円からとなる予定だ。借りている時間や走行距離によっても料金が変動する(オーナーには割引料金の特典も設ける予定)。

「0円マイカー」のオーナーはクルマを貸さずに駐車場を貸す
「0円マイカー」のオーナーはクルマを貸さずに駐車場を貸す
通常のカーシェアと0円オーナーのコスト比較。レンタカーの稼働率が高ければ、売り上げに応じて付与されるポイント分だけ得をする仕組み

 DeNA SOMPO モビリティの試算例では、4万円分のポイントを付与された「0円マイカー」のオーナーが、自らが管理するBMW3シリーズを1カ月の間に、週末ゴルフで12時間の利用が2回。平日にデートで5時間の利用が2回で、トータルで500km利用しても合計3万7400円分となり手持ちのポイントに収まるとしている。

 別の試算例では、アクアを管理するオーナーで3万円分のポイントを付与された場合、平日に子供を週3回の塾に送り迎えし、週末の土曜日に買い物に出かけると仮定して、1カ月の間に1時間の利用を12回と6時間の利用が5回でも、合計2万8640円分となり手持ちのポイントで済むという。

 ポイントは毎月15日に付与されるが、使わなければその月の翌々月の末に失効する。6月15日に与えられたポイントなら8月末までに使い切らなければならない。1カ月に何回かはクルマを利用する当てがない人には不向きだ。