企業や個人が持つ“遊休”スペースを登録してもらい、会議室や臨時オフィスとして使いたい人に時間貸しする「Spacee(スペイシー)」。2013年12月に運営を開始し、現在は約5200物件が登録、約20万人の会員を抱えるサービスに成長したが、「まだまだ需要に供給が追い付いていない」という。
近年、サービスの数、利用者共に増えているのが、企業や個人間で商品などを共有するシェアリングサービス市場だ。その中でも時間単位で場所を貸し借りする「スペース」の割合は大きい。
スペースのシェアというとAirbnbに代表される民泊ビジネスが話題だが、順調に伸びているのが会議室のシェアだ。その先駆けともいえるのが、「1時間500円から貸し借りできる会議室」をうたうスペイシー(東京・港)。13年のサービス開始以来、前年比2倍前後のペースで会員数を増やしてきた。現在の会員数は約20万人、1カ月の予約件数は約2万1200件に上る。
スペイシーでは、個人や企業に、自身が所有するビルの1室などを登録してもらい、それを希望する人に30分や1時間といった時間単位で貸し出す。利用料金を決めるのは、貸主である会議室の所有者。スペイシーは利用料から30%の手数料を取るビジネスモデルだ。利用者は、利用したい場所や人数、用途、必要な設備などから会議室をサイト検索し、空室状況を確認して予約する。決済はクレジットカード払いの他、銀行振り込み、コンビニ支払い、請求書にも対応しており、仕事で使うにも利便性が高い。
遊休スペースを会議室として貸し出し
会議室のシェアといっても、登録されている物件は会議室だけではない。貸し手は、貸し会議室運営を本業とする企業の他、自社で使っていない会議室を貸す企業、昼間の店舗を貸す居酒屋、生徒が来ない時間の教室を貸す学習塾や音楽教室など多様だからだ。
これらは、自社の遊休スペースや、アイドルタイムを活用するために、スペイシーを利用しているパターン。中には、創業したてのスタートアップが夜や週末だけオフィスを貸し、家賃の足しにする例もあるという。「実は創業時の当社もそうだった。夜と週末はオフィスで仕事をしないことにして、貸していた」と内田圭祐社長は明かす。
加えて最近は、雑居ビルの1室を自ら借りてスペイシーに登録、“格安会議室”として貸す個人が増えてきた。こちらは主に投資目的だ。「例えば、都内で家賃8万円程度の物件を借りて、スペイシーで貸せば、月15万円くらいの売り上げになる例は多々ある」(内田社長)という。今や売り上げの8割をこうした格安会議室が占めるまでに至っている。
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