企業や個人間で商品を共有するシェアリングサービスの利用者が増えている。クルマ、ファッション、会議室など対象物は広がり、2018年度の市場規模は過去最高に。腕時計を扱う「KARITOKE」は登録会員数が1万7000人を突破し、中古時計販売店との連携や、時計メーカーへのデータの提供にも踏み出した。
必要なものは必要なときだけ借りる。使わないものは人に貸す──シェアリングサービスが、消費者の行動を変えつつある。日本シェアリングエコノミー協会が全国の20~60代を対象に行った市場調査によると、18年度のシェアリングエコノミーの市場規模は過去最高の1兆8874億円。30年度には5兆7589億円まで成長するとしている。
「シェアリング」とひと口に言ってもさまざまなサービスがあるが、とりわけ大きな割合を占めるのが、「スペース」「モノ」「移動」のシェア事業だ。スペースには民泊のほか、店舗の一部や駐車場などを貸すサービスが、モノには中古品を売買するフリマアプリやアパレルのシェアサービスが、移動には自動車や自転車のシェアサービスが含まれる。
従来のレンタルと違うのは、安く、手軽に使えること。自動車の場合、レンタカーでは一般に数時間単位、5000円程度からの使用が基本だが、カーシェアとなると15分から、数百円で借りられる。こうした手軽さが、所有する代わりに必要なときだけ借りるという選択肢をもたらした。
さらに、近年は消費者間で融通するCtoCのサービスも増えている。この場合、シェアリングサービス事業者が間に入って、貸し手からモノなどを預り、借り手に提供。借り手から受け取った使用料の一部を、貸し手に支払う流れになっている。
腕時計レンタルは1年で利用者が2倍に
モバイル向けゲーム開発などを行うクローバーラボ(大阪市)が手掛けている腕時計専門のシェアリングサービス「KARITOKE」もその一つだ。17年6月のサービス開始から2年で会員数は1万7000人に到達。同社の常務CFO(最高財務責任者)兼経営企画室長の小川紀暁氏は「2年目に入ってからの伸びは特に大きく、1年間で2倍以上に増えた」と反響を語る。
KARITOKEでは月額利用料を支払って会員になると、好きな時計を1本、返却期限なしで借りられる。返却すれば、別の時計をまた借りることが可能だ。17年11月からはマルイと協業し、東京の有楽町マルイと大阪のなんばマルイにKARITOKEの常設スペースを設けた。KARITOKEの在庫の一部を両店に置き、マルイ時計売り場の店員のアドバイスを受けながら、その場で時計を選んで借りられるようにしている。「すぐ借りたい、専門家のアドバイスを聞きながら選びたいなど、ウェブとは違うニーズにこたえられる」(小川氏)。
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