第8回から連続でマーケティングのプロセスについて解説してきた。いよいよ施策を実行・検証する「ポジショニング」「アクション管理」の説明に入る。今後デジタルマーケティングの中心的な存在となるCDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)の利用例を交え、先輩社員ヒロセが解説する。

ネット広告やデジタルマーケティングに精通する先輩社員。新人ユカの教育係になった。見た目はクールだが、ネット広告の話になると熱くなって止まらなくなる。

ネット広告会社に新卒で入ったばかりの新人女性社員。元気とやる気は人一倍あるが、難しい用語は苦手。ヒロセのボケに対して絶妙なツッコミをする。

いよいよたどり着いたな。今回と、同時掲載の後編でついに最終回だ。

長かったようで短かったです。いろいろ教えてもらいました。

まだ気を抜くのは早いぞ。今回は「ポジショニング」「アクション管理」について説明していく。さて、それぞれの意味は何でしょう?

えっとポジショニングは……お客をお店に連れてくる、みたいな?

ええっと、ちょっと違うかな。顧客にブランドや自社製品のイメージをどう認知させるか、顧客への提供価値や戦略を具体的に定義するフェーズのこと。アクション管理は、ポジショニングで固めた方針を、具体的なアクションプランに落とし込みPDCAを回すフェーズのことだ。では説明していくぞ。
顧客視点のマーケティング・ミックス
第8回と第9回にかけて「環境分析」「セグメンテーション」「ターゲティング」とマーケティング・プロセスについて解説してきました。これに続く「ポジショニング」「アクション管理」について説明します。
ポジショニングで使われるフレームワーク(問題解決のための手法や考え方)が4Cです。詳しい説明に入る前に1点、重要なことがあります。ポジショニング(≒4C)を決めるためには、プロセスの前段となる「適切なセグメンテーション」と「適切なターゲティング」が行われていることが前提条件となります。これはぜひ押さえておいていただきたい部分です。
・4C(マーケティング・ミックス)
4Cは顧客への提供価値や戦略を具体的に定義するフレームワークです。「Customer value(顧客が得られる価値) 」「Customer Cost(顧客の負担) 」「Convention(利便性) 」「Communication(コミュニケーション)」の4つの視点で整理します。
4Cは1993年にマーケティング学者のロバート・F・ロータボーン氏が提唱したフレームワークです。これの基になっているのは、1960年に同じくマーケティング学者のエドモンド・ジェローム・マッカーシー氏が提唱した4Pというフレームワークです。4Pでは、「Product(商品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(プロモーション)」の4つの視点で整理しますが、4Cは4Pをより顧客視点にしたものと言えるでしょう。これらはマーケティング戦略における重要な要素で、マーケティング・ミックスと呼ばれます。
4C(マーケティング・ミックス)を作成するための視点を以下にまとめました。第8回で紹介した「マーケティングのプロセスと、それぞれで利用される主なフレームワークの一覧」の図と一緒にご覧いただくと、どのプロセスのタスクなのか、位置付けを整理しやすいと思います。
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