新年度がスタートするこの時期、広報部門にもフレッシュな顔ぶれが見られることでしょう。そんな彼らが抱く、広報に対するキラキライメージをことごとく打ち砕いてきた筆者の鈴木正義さんですが、今年は新人広報に向けたアドバイスを送ることにしたそうです。さて、その中身とは……。
4月ですね。真新しいスーツを着た新人が街にあふれる、新年度らしい風景が今年もやって来ました。そして我々広報にとっても4月は配属、転属になった人がやって来る季節でもあります。
このコラムでは再三、外から眺めたイメージだけで広報に憧れを抱く人に向け、「勘違いするなよ」的なことを書いてきました。今年もまた、希望に燃えて広報スタッフとなった人に、冷や水を浴びせ掛けるようなことを書いてやろうとやる気満々だったのですが、さすがにちょっとやり過ぎな気もしてきました。広報の同業者から「イメージが悪くなるからやめてくれ」とクレームが入るやもしれません。
そこで今回は、広報部門に配属になった人がまずやるべきことを、このコラムの視点でアドバイスしたいと思います。
名刺を刷れ、マスコミを知れ
広報部門に配属された人が「広報のプロとして独り立ちしたい」と考えたとき、まずお勧めするのが「鬼のように名刺を印刷する」ことです。業界にもよりますが、通常考えている妥当な数の2倍から3倍くらいの名刺を印刷しておくといいでしょう。
外部の人間から広報のプロとして見られるということは、言い換えると「誰よりもマスコミに精通している人である」とも言えます。それは「発行部数は何万部である」「月間ユニークユーザーは5万人である」といった、ネットでちょっと検索すれば出てくる程度の情報に通じていればいいということではありません。「あそこの編集長はアップル製品が好きだ」「今度AI(人工知能)の特集をやるかもしれない」というような、実際にコミュニケーションを取っていないと分からない情報に通じているのが重要です。そうなって初めて「この人は頼りになる」と思われるでしょう。
このような知見を得るための最短の道は、とにかくマスコミの人に会って会って会いまくることです。そのために、たくさん刷った名刺を交換しまくるというわけです。名刺の減り具合は、日々目視で確認可能です。極めて単純な目標管理の方法ですが、例えば300枚の名刺を使い切ったとき、自分は300人のマスコミ関係者とリレーションができているという状態がイメージでき、いっそう頑張れるのではないかと思います。
そうこうしているうちに「あのベテランライターには編集長も一目置いているようだ」「この媒体の編集方針だと、我が社の事業に興味を持ってもらえない」といったことも分かってきます。こうなると「アイツは新人ながら、なかなかマスコミのことを理解している」という評価が得られ、偉い人たちがマスコミ対応を判断する際に貴重な存在になれるでしょう。
この記事は会員限定(無料)です。