実は広報というのは、予算を削られる可能性の高い仕事なのです。これはフリーランスで仕事をしている広報にとっては死活問題。いつも契約打ち切りの恐怖と背中合わせです。しかし、ただ流されているだけではいけません。「この人は必要だ」と思ってもらうためにフリーの広報は何をすればいいのでしょうか。
予算を削られがちな広報という仕事
フリーランスとして働きたい方に向け、セミナーで話をしてほしいと依頼を受けたことが何度かありました。また、「広報で独立したい」という相談を受ける機会もあります。しかし、結論を言えば、先の見えない仕事なのであまりお勧めしません。確固たる意志のある方は別として、基本的には独立はしないほうがいいというのが私の答えです。
私自身は覚悟があってフリーランスになったわけではありません。ソニー(現ソニーグループ)を退職した後に専業主婦になろうと思ったけど向いていないことが分かり、再就職を図るも、ソニー以上に好きになれそうな会社がないと気付き、流れでフリーランスの広報として働くことに……。収入が不安定過ぎて、何度もやめようと思いました。急に仕事がなくなるかもしれないのは、本当に不安なものです。本当にラッキーにラッキーが重なって、今日まで仕事を続けることができているのです。
どんな企業でも予算があって、その中から私は広報やPRに割り当てられたお金で仕事を頂いています。そうした広報やPR関連のお金は、企業の予算の中でも減らしやすい外注費のひとつです。売り上げや利益が厳しくなったら、いの一番に目を付けられる予算と言えるでしょう。広報やPRは、その気になれば外注せずに社内で完結できる仕事ですから、当たり前でしょう。さらに付け加えるなら、予算が厳しくなった企業は大抵情報発信を控えます。その分仕事も減るだろうという理由から、社内の広報スタッフですら削減する判断も十分あり得ます。
いかに削減しやすい予算だからとはいえ、契約打ち切りのような憂き目に遭わないためには、広報側もいろいろと工夫が必要です。今回は事情を明かせるギリギリを狙って書いているので、書けない部分も多々ありますが、それは機会がありましたら対面で聞いてくださいね。
広報の評価を上げるためにできること
フリーランスの広報として、事業担当者の方に満足いただけるような実績を上げるのは当然ですが、その事業担当者が知り得ない情報を集めて、それを定期的にアウトプットすることが、長続きさせるコツのひとつではないかと思います。
広報の仕事は、プレスリリースを書いて、メディアとやり取りをして、記事化のサポートをする。ごく大ざっぱに言ってそんな感じです。効果測定がしづらいので、朝や昼の情報番組などに露出するといった派手な結果が出ても、社内からは商品やサービスの良さが理由と見られがち。そこを打破するには、事業担当者が広報の管轄外だと思っているような意外な情報や、知ればきっと役立つのだけど、意識すらしていない情報を提供することでサポートをするのが効果的です。それらは業務外として認識され、契約にはまず入らないのですが、それこそが付加価値になり得ます。広報は情報発信だけでなく、情報収集も重要なスキルなのです。
外部からの客観的な視点というのも、実は広報が提供できるサービスです。その際に重要なのが、メディアに対して商品やサービスを説明する際に必要となるQ&Aを作成するスキル。メディアの立場になって、記者が知りたい部分や突っ込みたくなるような部分をいち早く洗い出して事業担当者に提供すれば、非常に有益な情報になるでしょう。
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