初の著書『マスコミ対策の舞台裏』の出版記念発表会に臨んだ遠藤眞代さん。いつもは広報として発表会を仕掛ける側ですが、今回は自らが主役です。壇上からメディアの記者やライターたちを前にすると、裏方では分からなかったことが見えてきたそうです。

『マスコミ対策の舞台裏』の出版記念発表会に登壇した著者の遠藤眞代さん(写真右)と鈴木正義さん(同左)。このコラムの執筆者ですからおなじみですね
『マスコミ対策の舞台裏』の出版記念発表会に登壇した著者の遠藤眞代さん(写真右)と鈴木正義さん(同左)。このコラムの執筆者ですからおなじみですね

自分が登壇者になれば心持ちは変わるのか

 私の初の著書『マスコミ対策の舞台裏』の出版記念発表会を、2022年12月21日に行いました。年末のあいさつを兼ねていたこともあり、顔見知りの記者さんやライターさんをお呼びしました。私にとって本を出すのは、一生に一度あるかないかのラッキーです。この機会を使って「発表会のようなことをやってみたい」とワガママを言って、周りの方々にご協力いただいて実現しました。

 広報の仕事に長く携わってきましたから、これまで発表会は何度も経験しています。しかし自分自身が登壇者になるのは、恐らくこれが最初で最後でしょう。立場が異なると心持ちが変わるのか変わらないのか――それを体験することも、この発表会を開催した大きな理由でした。やはり非常に多くの気づきがありましたので、忘れないうちに読者の皆様へのリポートのつもりで書き留めます。

誰に声をかけるのか、予算はどうする?

 記者さんたちへの声がけは、約1カ月前から行いました。このコラムの執筆者で、本の共著者でもあるアドビ執行役員の鈴木正義さんと一緒にリストを作成したのですが、どなたに声をかけるべきなのかとても迷いました。本来であればこのコラムや書籍に興味を持ってもらえそうなメディアを想定し、声がけする相手を絞り込みます。ただ、今回は自分たちが登壇者であり、通常の発表会とはやや趣が異なるので、私はメッセンジャーの履歴をチェックし、直近やり取りした方に声がけをすることにしました。

発表会にはたくさんの記者やライターが詰めかけた。遠藤さんにとっては親しい方ばかり
発表会にはたくさんの記者やライターが詰めかけた。遠藤さんにとっては親しい方ばかり

 次のステップは予算です。これまでの発表会では、“お金”については自分ごとではなかったので大変考えさせられました。私の会社が主催したこともあり、経費とはいえ“自腹”です。予算は限られていますが、規模が小さくなると声がけする人数を増やせません。そんなことは百も承知で、広報として幾度となく発表会に携わってきましたが、主催者の立場になると、より多くの責任がのしかかってきます。腹をくくり、その都度ベストな意思決定を行っているつもりですが、もっといい解答を導き出すために頭を使わないといけないなぁと、今でも思い続けています(まだ最適解は出ていません)。

 このコラムで何度も書いていますが、広報というのは客観的な視点が非常に重要です。自分が登壇者や主催者になっても、客観的にバシッと決められるだろうと高をくくっていたのですが、残念ながらそうではありませんでした。通常なら秒で決められる「進行」や「会場レイアウト」もスムーズに決められない。鈴木さんやサポートしてくださった方々にアドバイスを求め、何とか体裁を整えることができました。

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