「反対の反対」のように2度否定を繰り返せば肯定になりますが、分かりにくくて混乱の元。しかし、あまり意識せずにこうした否定形を重ねて使ってしまうことはありませんか。よく理解しないと「どっちだっけ?」と迷ってしまい、コミュニケーションに誤解が生じます。特に広報はメディアとのやり取りで気を付けたい表現です。

否定して否定して……また否定。それで結局どっちなの? ※画像はイメージ(画像提供:fizkes/Shutterstock.com)
否定して否定して……また否定。それで結局どっちなの? ※画像はイメージ(画像提供:fizkes/Shutterstock.com)

オトナ版「ハンタイのハンタイ」

 「いいよ、じゃあ『その』ハンタイのハンタイのハンタ~イ」――。

 皆さんも子どもの時に、一度は言ったことがあるのではないでしょうか。いい大人が同じようなことを言ったら、むっとされて「で、どっちなんじゃい!」と突っ込まれ、「あいつは常識がない」と陰口をたたかれるに違いありません。

 子ども同士の会話ではよく使われる“反対コトバ”ですが、これは完全に相手の混乱を目的とした言葉遊びです。ですから、ビジネスシーンでやっては即退場。もちろん、実際に使っている人に会ったことはないですが……。

 実は言葉のプロフェッショナルである広報も、無意識に似たようなことをしている場合があります。例えば、広報が日常的に行う日程調整。意図せず「ハンタイのハンタイ攻撃」をしてしまうことも。例えば、こんな感じ。

●日程候補:1/10、1/15、1/20、1/25、1/30
※1/15、1/25以外は、ショールームはご利用いただけません。

 分かりやすくするため時間帯は割愛しました。一見、とても整理して書かれているようですが、結構ややこしい表現をしています。皆さんは忙しい時にこれを読んで、正確に把握できますか。少し前に、この例と同じようなメッセージを読んで、私はこう理解してしまいました。

・1/10と1/20と1/30はショールームが使用できる。
・1/15、1/25はショールームが使用できない。

 そうです。慌てん坊の私は、「以外」を読み飛ばしていました。この文章のトラップは、※の中に、「~以外」と「~できない」という打ち消す言葉が2回使われていることです。そう、「オトナ版ハンタイのハンタイ」です。

 これ、無意識のうちにやっていませんか。社内の人間に取材対応を依頼した際に、取材対応者がこうした表現で返してくることは、かなりの確率であります。スケジュール帳に記した予定を見たまま、認識した順に言語化するからです。ただ、広報としてはそこを考慮して正確に認識し、取材する記者などに対して、間違いのないよう表現を修正するのが言葉のプロとしての役目でしょう。先ほどのケースは、こう書き換えればいいのです。

●日程候補: 1/10、1/15、1/20、1/25、1/30
※ショールームは、1/15、1/25のみご利用いただけます

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『マスコミ対策の舞台裏 役員からの電話で起こされた朝』

『マスコミ対策の舞台裏 役員からの電話で起こされた朝』
2022年12月19日発行
 連載「風雲! 広報の日常と非日常」が本になりました。これまで3年半以上に及ぶ、約150本のコラムの中から、「マスコミ対策」に焦点を絞って再編集。企業や個人までも手軽に情報発信できるSNSがもてはやされる今日ですが、“バズった”記事の出どころをたどると、マスコミの記事や番組であることが少なくありません。だからこそ、企業は「情報の源流」でもあるメディアへの対策を十分に練り、正しい情報を伝え、記事や番組として発信してもらう重要性がこれまで以上に高まっていると言えます。本書は連載でおなじみの現役広報パーソンである二人の著者(鈴木正義氏、遠藤眞代氏)が、20年以上にわたる記者や編集者との生々しい駆け引き、社内でのあつれき、成功談・失敗談から導き出された「記事や番組に採用されるためのテクニック」「メディアとの関係構築法」「危機感管理術」などを、当時の現場の様子や本音を交えながらリアルに書きつづっています。読み物としても楽しめる中身の濃い1冊に仕上がっています。

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