レノボ・ジャパン(東京・千代田)はZ世代を狙い、サステナブルなものづくりを意識して天板にクラレの人工皮革「クラリーノ」を使用したノートパソコンを発売しました。そこでレノボの広報を務める筆者の鈴木正義さんは、クラレと共同で広報を実施。意外な2社の共同広報、成功のカギは何だったのでしょうか。

天板に「クラリーノ」を使用したレノボの新型ノートパソコン「ThinkPad Z13」。Z世代を狙った「サステナブルなものづくり」がセールスポイント
天板に「クラリーノ」を使用したレノボの新型ノートパソコン「ThinkPad Z13」。Z世代を狙った「サステナブルなものづくり」がセールスポイント

レノボが仕掛けたクラレとの共同広報

 私が広報を担当しているレノボ・ジャパンは2022年6月24日、新型パソコン「ThinkPad Z13」を発表しました。この新製品は日経クロストレンドも大好きなZ世代を狙ったモデルで、特に「サステナブルなものづくり」をZ世代へのセールスポイントとして企画されました。パソコンのボディーにはリサイクルアルミを採用したり、梱包箱にも成長の早い竹とサトウキビからつくられた段ボールを使用したりするなど、環境に配慮した工夫をしています。

 しかし何といっても人工皮革をパソコンの天面の素材に使用した点が、サステナブルと外観の両面において、この製品最大の特徴となっています。そして、その人工皮革にクラレの「クラリーノ」を採用したことから、レノボとクラレは共同で広報活動を展開しました。

クラレの人工皮革「クラリーノ」。ランドセルでおなじみの素材だ
クラレの人工皮革「クラリーノ」。ランドセルでおなじみの素材だ

 「クラレが4日ぶりに反発。同社は24日、人工皮革『クラリーノ』がレノボ・ジャパンの、ノートブックパソコン『ThinkPad Z13』の天板に採用されたと発表しており、これが好材料視された」――。

 これは22年6月27日、株式専門のネット媒体「株探」に掲載された記事です。派手ではありませんが、SDGs(持続可能な開発目標)あるいはESG(環境・社会・企業統治)に対する高い技術を持つ企業として、クラレの評価が高まったことを示しています。企業広報としては、一定の成功を収めたと言っていいでしょう。

 昨今、どこへ行っても「サステナブル」という言葉を耳にしない日はないくらい、サステナブルに関する情報発信は広報・マーケティング分野で大流行しています。Z世代から認知されたい、あるいは投資家から評価されたい、そんな「いまどきの広報」が狙っているような結果を得られたわけなのですが、実は今回の2社の取り組みは決して新しいものではありませんでした。

 「ThinkPad」と言えば、角ばった黒いボディーに赤いトラックポイントと呼ぶ「ポッチ」が付いたデザインでおなじみのパソコンです。実はこのデザインは、製品が誕生した1992年から30年間、基本的に変わっていません。

 一方「クラリーノ」の誕生は、ThinkPadよりもさらに古い64年です。ランドセルや靴などにも採用されていたことを記憶している方もいるのではないでしょうか。

 このように2つは歴史あるブランドで、サステナビリティーが注目を集める前から地道に製造・販売を続けていたことを、今回改めてきちんと表現したにすぎません。

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『マスコミ対策の舞台裏 役員からの電話で起こされた朝』

『マスコミ対策の舞台裏 役員からの電話で起こされた朝』
2021年12月28日発行
 連載「風雲! 広報の日常と非日常」が本になりました。これまで3年半以上に及ぶ、約150本のコラムの中から、「マスコミ対策」に焦点を絞って再編集。企業や個人までも手軽に情報発信できるSNSがもてはやされる今日ですが、“バズった”記事の出どころをたどると、マスコミの記事や番組であることが少なくありません。だからこそ、企業は「情報の源流」でもあるメディアへの対策を十分に練り、正しい情報を伝え、記事や番組として発信してもらう重要性がこれまで以上に高まっていると言えます。本書は連載でおなじみの現役広報パーソンである二人の著者(鈴木正義氏、遠藤眞代氏)が、20年以上にわたる記者や編集者との生々しい駆け引き、社内でのあつれき、成功談・失敗談から導き出された「記事や番組に採用されるためのテクニック」「メディアとの関係構築法」「危機感管理術」などを、当時の現場の様子や本音を交えながらリアルに書きつづっています。読み物としても楽しめる中身の濃い1冊に仕上がっています。

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