今やメディア関係者の間ですっかり定着した、プレスリリースの配信代行サービス。大手メディアへ情報を簡単に届けられるので、広報にとっては“夢のような”サービスです。しかし一方で、その手軽さを逆手にとってとんでもないリリースを配信する企業も。便利なサービスだからこそ、こうしたプレスリリースの「劣化」を許してはなりません。

「日本初」や「最安値」といった表記は、プレスリリースでは注意しなくてはなりません ※画像はイメージ(画像提供:Houbaczech/Shutterstock.com)
「日本初」や「最安値」といった表記は、プレスリリースでは注意しなくてはなりません ※画像はイメージ(画像提供:Houbaczech/Shutterstock.com)

夢のサービス、リリース配信代行

 広報の仕事といえば、まず思い浮かぶのがプレスリリースです。これをいかに書くか、というのも大事ですが、実はいかにしてマスコミにリリースの中身を届けるかが難しい点です。かつて企業の広報部において、どのメディアと通じているかというのは、門外不出といっていいほど貴重な情報でした。そのメディアリストの良しあしが、広報部の実力そのものと言えたからです。

 しかし、そんな時代も今は昔。昨今では、商業サービスとして主要メディアへのプレスリリース配信を代行してくれるサービスが登場しています。これを使えば、マスコミリストを全く持っていないスタートアップのような企業でも、ある程度お金を払えばマスコミにリーチできるようになりました。例えるなら、飛び込みで新規開拓するしかない新米営業に、大手の優良顧客の玄関先まで連れて行って、名刺交換までさせてくれるサービスといったところ。まさに夢のようなサービスです。

 さらにこのサービスには、名の通ったメディアのサイトにリリースを転載してくれる場合があります。プレスリリースを配信した翌日に検索をかけると、自分たちが書いた通りの(プレスリリースの転載なので当たり前なのですが)記事が、大手メディアのサイトに掲載されているのを見てひと安心できるので、これはありがたいですね。

 広報担当者の中には、このサービスを使えば好きなようにプレスリリースが配信できると思って喜んでいる人もいるでしょう。また、クライアント企業にキャンペーンプランを持っていく広告代理店も、気軽に「プレスリリースを打ちましょう」と言いやすくなります。何しろ結果が保証されているのですから、キャンペーンの「成果ゼロ」という地獄を見ずに済み、報告書に結果を載せることができます。

 ただ、ここが勘違いしやすい点なのです。よく考えると、このサービスはあくまで「プレスリリースの転載」です。通信社や新聞社など大手メディアのサイト内に掲載はされますが、実際に記者が書いた報道記事ではありません。全国の消費者が突然、雷に打たれたように一斉に未知の製品名を思い浮かべて検索するわけではないので、新聞の朝刊やニュースアプリのプッシュ通知に出てくるような報道記事とは、1本の記事といっても質的に大きく異なります。

 本来広報が目指すのは、このように大手メディアやYahoo!ニュースなどのニュースサイトに掲載されることですが、そのハードルが高いことは今も昔も変わらないと思います。広報がそうした目的を見失い安易な方向に流されぬよう、企業の広報、広告代理店、どちらの立場も注意したいところです。

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