冠婚葬祭の1つである「お葬式」は人生の大切なイベントです。ミスの無い運営で、立派に故人を送り出したいもの。イベント運営という視点でお葬式を眺めると、広報の経験が生きる面がたくさんあるそうです。

お葬式もイベントの1つ。広報の経験が役立ちました ※写真はイメージ(写真提供:akiyoko/Shutterstock.com)
お葬式もイベントの1つ。広報の経験が役立ちました ※写真はイメージ(写真提供:akiyoko/Shutterstock.com)

時間に余裕のないお葬式、判断の起点は「場所」

 突然ですが、2月に喪主を務めました。人生で何度も経験することではないと思いますが、広報の経験が大変役に立ちました。我ながら最善を尽くせたこともあり、何ら悔いを残すことなく故人を送ることができたと思います。

 多くの方から「大変だったでしょう」というお悔やみの言葉を頂戴したのですが、正直なところお葬式の作業自体はそれほどではありませんでした。初めての経験でしたが、やってみて強く感じたのは、お葬式自体がある種のイベントであるということです。冠婚葬祭の1つですから、人生の大きな催し物であるのは確かでしょう。

 そこで今回の経験をコラムに役立てるべく、お葬式の運営のポイントについて、広報的な視点を交えて書いてみます。

 お通夜も告別式も、大部分は葬儀屋さんに丸投げできます。しかし、これらは家族が亡くなってから1カ月後に……などと悠長なことは言っていられません。半日から1日ほどで、多くの決断を迫られることになります。恐らく、複数の葬儀屋さんから相見積もりをしている時間すらないかもしれません。

 比較したい場合、もしくは何から手をつければいいか分からないときは、「場所」を判断の起点にするといいでしょう。広報イベントの場合、「いつ開催するか」から決めることもありますが、お葬式の場合は“なるはや”でやることになるので、開催日はあまり判断材料にはなりません。

 どの広報イベントでも、最初にやるべきはイベントを行う「場所」の確保です。アクセスが良いこと、規模が適当であること、予算内であること、発表会の趣旨に近いかどうか、などが選択基準になります。

 アクセスに関しては、広報イベントとお葬式では少し優先順位が異なります。広報イベントの場合、事前準備に時間をかけられることも多いですし、基本的にゲスト側の利便性を一番に考えます。

 一方、お葬式の場合は主催者側(喪主)の利便性が優先されるでしょう。いかんせん時間がなく、主催者側の判断力も鈍っている状態です。直前まで準備などの必要があるかもしれないので、お葬式を滞りなく行うためには、喪主の自宅から近いなど主催者のアクセスを重視したほうが安全だと感じました。車移動の多い方は、駐車場の数も要確認ですね。お坊さんと霊きゅう車で2台分使う場合もあるので注意が必要です。広報イベントで例えるなら、搬入用の車や役員の車で駐車場が埋まってしまわないか、アテンドの必要の有無を確認しておくのと似ています。

 ちなみに今回は、新型コロナウイルス下ということもあり家族葬としました。20人程度が余裕でソーシャルディスタンスが保てることを重視したので、1家族で貸し切りできる家族葬用の式場に決めました。場所が趣旨に合っているかに関しては、宗教や故人の好みや意向をくみ取り、らしい選択をするのがよいと思いました。

有料会員になると全記事をお読みいただけるのはもちろん
  • ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
  • ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
  • ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
  • ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー
ほか、使えるサービスが盛りだくさんです。<有料会員の詳細はこちら>
8
この記事をいいね!する

『マスコミ対策の舞台裏 役員からの電話で起こされた朝』

『マスコミ対策の舞台裏 役員からの電話で起こされた朝』
2021年12月28日発行
 連載「風雲! 広報の日常と非日常」が本になりました。これまで3年半以上に及ぶ、約150本のコラムの中から、「マスコミ対策」に焦点を絞って再編集。企業や個人までも手軽に情報発信できるSNSがもてはやされる今日ですが、“バズった”記事の出どころをたどると、マスコミの記事や番組であることが少なくありません。だからこそ、企業は「情報の源流」でもあるメディアへの対策を十分に練り、正しい情報を伝え、記事や番組として発信してもらう重要性がこれまで以上に高まっていると言えます。本書は連載でおなじみの現役広報パーソンである二人の著者(鈴木正義氏、遠藤眞代氏)が、20年以上にわたる記者や編集者との生々しい駆け引き、社内でのあつれき、成功談・失敗談から導き出された「記事や番組に採用されるためのテクニック」「メディアとの関係構築法」「危機感管理術」などを、当時の現場の様子や本音を交えながらリアルに書きつづっています。読み物としても楽しめる中身の濃い1冊に仕上がっています。

第1章 広報しか知らないマスコミの素顔
第2章 取材対応こそ危機管理の要
第3章 経営者が知っておくべきマスコミ対応の落とし穴
第4章 掲載を勝ち取るマスコミへのアプローチ
第5章 天国と地獄が交錯するプレス発表会
第6章 今だから言える企業広報の裏話
全83エピソード(350ページ)
Amazonで購入する