この連載の筆者である鈴木正義氏が本を出版しました。きっかけは大好評だった「大政奉還」のプレスリリースです。書籍では鈴木氏が熟練の広報テクニックを武器に、プレスリリースという手法を駆使して日本史の大事件を鋭く斬りまくります。今回はその中から「遣唐使募集」のエピソードを紹介します。

1975年に発行された遣唐使船の切手。この波の具合だと、船酔いは避けられないかもしれません ※写真はイメージ(写真:Nicescene/Shutterstock.com)
1975年に発行された遣唐使船の切手。この波の具合だと、船酔いは避けられないかもしれません (写真:Nicescene/Shutterstock.com)

前回(第117回 広報の手にかかれば、松尾芭蕉だって旅行系の人気ユーチューバー)はこちら

「船酔いしない」は応募条件から外せない

『もし幕末に広報がいたら 「大政奉還」のプレスリリース書いてみた』
『もし幕末に広報がいたら 「大政奉還」のプレスリリース書いてみた』

 前回に引き続き『もし幕末に広報がいたら 「大政奉還」のプレスリリース書いてみた』の中から、今回は遣唐使についてのエピソードをご紹介します。

 ここでの広報ポイントは、約1300年前にさかのぼって、その当時における「最近の若者」へ向けた訴えかけであるという点。飛鳥時代のおじさんたちとはちょっと価値観の異なる、今でいう「Z世代」にどうアプローチすればよいのでしょうか。遠い昔の時代とはいえ、世代間の格差や認識の違いみたいなものは当時もあったでしょう。そこをうまく考慮しなければ、彼らの心にメッセージは響きませんよね。


 私は仕事の関係で英語を必要とする機会がたびたびあります。しかし、帰国子女でもなく留学経験もありません。むしろ学生時代は英語が大の苦手だった私にとって、英語のコミュニケーションは今でも苦痛以外の何ものでもありません。その一方で、英語を勉強する気もないくせに若い頃アメリカ文化に憧れていたのも事実です。いかにも燃費の悪そうな派手なオープンカー、幹線道路沿いのダイナーで食べるハンバーガー、ポップコーンを片手に観戦するメジャーリーグ。私の世代であればこうしたアメリカの風景に憧れを抱いた人は少なくないでしょう。

 いつの時代でも海外の文化に憧れを抱く若者はいたでしょう。飛鳥時代、若者たちの憧れは唐の国だったのではないかと思います。日本の歴史の中でほとんどの時代、中国は世界の超大国という位置づけでした。時に日本の脅威となることもありましたが、常に最先端の科学、文化、政治システムなどのお手本となる国で、日本の歴史に与えた影響は計り知れません。

 その進んだ文化を吸収しようと送り込まれていたのが「遣唐使」です。実際には遣唐使はエリート中のエリートだったと思われますが、もし遣唐使を公募するようなことがあれば、唐の文化に憧れた優秀でモチベーションの高い若者が、たくさん応募してきたのではないでしょうか。ちょっと募集をしてみましょう。

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『マスコミ対策の舞台裏 役員からの電話で起こされた朝』

『マスコミ対策の舞台裏 役員からの電話で起こされた朝』
2021年12月28日発行
 連載「風雲! 広報の日常と非日常」が本になりました。これまで3年半以上に及ぶ、約150本のコラムの中から、「マスコミ対策」に焦点を絞って再編集。企業や個人までも手軽に情報発信できるSNSがもてはやされる今日ですが、“バズった”記事の出どころをたどると、マスコミの記事や番組であることが少なくありません。だからこそ、企業は「情報の源流」でもあるメディアへの対策を十分に練り、正しい情報を伝え、記事や番組として発信してもらう重要性がこれまで以上に高まっていると言えます。本書は連載でおなじみの現役広報パーソンである二人の著者(鈴木正義氏、遠藤眞代氏)が、20年以上にわたる記者や編集者との生々しい駆け引き、社内でのあつれき、成功談・失敗談から導き出された「記事や番組に採用されるためのテクニック」「メディアとの関係構築法」「危機感管理術」などを、当時の現場の様子や本音を交えながらリアルに書きつづっています。読み物としても楽しめる中身の濃い1冊に仕上がっています。

第1章 広報しか知らないマスコミの素顔
第2章 取材対応こそ危機管理の要
第3章 経営者が知っておくべきマスコミ対応の落とし穴
第4章 掲載を勝ち取るマスコミへのアプローチ
第5章 天国と地獄が交錯するプレス発表会
第6章 今だから言える企業広報の裏話
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