この連載の筆者である鈴木正義氏が本を出版しました。きっかけは大好評だった「大政奉還」のプレスリリース。書籍では鈴木氏が熟練の広報テクニックを武器に、プレスリリースという手法を駆使して日本史の大事件を鋭く斬りまくります。今回はその中から日本が世界に誇る“あの俳人”のエピソードを紹介します。

現代なら人気ユーチューバー間違いなしです…… ※写真はイメージ(写真:JenJ_Payless/Shutterstock.com)
現代なら人気ユーチューバー間違いなしです…… ※写真はイメージ(写真:JenJ_Payless/Shutterstock.com)

『おくのほそ道』で東北地域と芭蕉がコラボ企画

『もし幕末に広報がいたら 「大政奉還」のプレスリリース書いてみた』
『もし幕末に広報がいたら 「大政奉還」のプレスリリース書いてみた』

 このたび、こちらの連載がきっかけになって日経BPから『もし幕末に広報がいたら 「大政奉還」のプレスリリース書いてみた』を上梓(じょうし)しました。本来、会社の黒子であるべき広報の私が思いがけず本を出すことになったのも、日ごろこのコラムをご愛読いただいている、皆さんのおかげではないかと思います。

 自分で言うといやらしい感じになるのですが、この本は歴史上の事件を舞台に、現代の広報、マーケティング、あるいはリスクマネジメントなどについての技法やヒントを書いたもので、日経クロストレンド読者の皆さんには楽しく読んでいただけるのではないかと思います。そこで「風雲! 広報の日常と非日常」では今回と次の2回にわたって、この本に収めたエピソードを紹介したいと思います。今回は「松尾芭蕉は旅行系の人気ユーチューバーになれる」という内容です。


 最近の若者はテレビも見ず、新聞も読まず、YouTube(ユーチューブ)ばかり見ているといわれています。有名ユーチューバーがお薦めするモノは飛ぶように売れるそうです。企業のマーケティング担当の口から「ユーチューブ」という単語を聞かない日はないと言ってもよいでしょう。今や筋のいいユーチューバーを見つけることが、マーケティングの成否を握っていると言っても過言ではありません。

 ユーチューバーと一口に言っても、コーラの中にメントスを入れるだけの人(泡が噴き出してすごいことになります)、受験問題の解説をする人、迷惑行為をやる人など様々ですが、私が結構気にしているのは「旅人系」のユーチューバーです。誰もが一度は訪れてみたい絶景、人気のホテル、あるいはソロキャンプ……こうしたものを美しい映像と共に紹介するコンテンツは見ていて飽きません。ユーチューブは旅行を映像で疑似体験し、「行ってみたいなぁ」と感じてもらうにはうってつけのプラットフォームです。

 実は圧倒的な表現力と体当たり企画で知らない辺境の地を紹介し、「きれいだなぁ、行ってみたいなぁ……」と人々に思わせた人物が江戸時代にいました。『おくのほそ道』の松尾芭蕉です。ここでは芭蕉の時代にユーチューブがあったら、その所属事務所はどんなふうに芭蕉をユーチューバーとしてプロデュースしたのかについて考えてみました。

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『もし幕末に広報がいたら 「大政奉還」のプレスリリース書いてみた』

『もし幕末に広報がいたら 「大政奉還」のプレスリリース書いてみた』
広報・PR関係者に大反響! 重版4刷
連載「風雲! 広報の日常と非日常」でおなじみの現役広報パーソン・鈴木正義氏による初の著書。広報・PR関係者を中心にSNSでも大きな話題に!「プレスリリース」を武器に誰もが知る日本の歴史的大事件を報道発表するとこうなった! 情報を適切に発信・拡散する広報テクニックが楽しく学べるのはもちろん、日本史の新しい側面にも光を当てた抱腹絶倒の42エピソード。監修者には歴史コメンテーターで東進ハイスクールのカリスマ日本史講師として知られる金谷俊一郎氏を迎え、単なるフィクションに終わらせない歴史本としても説得力のある内容で構成しました。
あの時代にこんなスゴ腕の広報がいたら、きっと日本の歴史は変わっていたに違いない……。
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