少し前から知り合いのメディアの皆さんに「広報やPR担当者の『無しだなぁ』と感じた行動」についてアンケートを行っています。まだ集計の途中ですが、今回はいただいたコメントの中から、「メディアリスト」「記者リスト」について考えてみます。

記者リストの更新がこんなに大変だったなんて…… ※画像はイメージ(写真提供:kei907/Shutterstock.com))
記者リストの更新がこんなに大変だったなんて…… ※画像はイメージ(写真:kei907/Shutterstock.com)

メディアに有益な情報を提供できているか?

 メディア関連の知り合いの方々を対象に行った、広報・PR担当者に対してどのように考えているのかについてのアンケート。早速、こんなコメントをいただきました。

 「(発表会などに)呼ぶ記者のリストを更新しない広報。ベテランだけとか自社に都合の良い記者だけしか呼ばないような会社の広報は、遅かれ早かれいつかしっぺ返しをくらうと思います……市場は常に流動化していて、記者のパフォーマンスや市場のニーズに応じたリストの見直しは必須だと思います」

 うっ、痛い。痛すぎる……。おっしゃる通り、広報としてしっかりと取り組むべき仕事です。

 「リストの見直しは難しいことじゃないでしょう」

 広報の仕事を経験したことのない方は、理解に苦しまれるでしょう。私の経験上、リストの見直しは手間のかかる繊細な仕事です。広報担当でない方にもぜひご理解いただきたいので、分かりやすく状況をご説明しながら解決法についてもご紹介いたします。

 大企業の広報の場合、報道系記者の入れ替わりの情報は必ず入ります。それはメディア側もニュースバリューの高い情報を取りこぼしたくないからです。番記者もいますから、企業側に情報が入ってきやすい環境にあります。担当記者の変更の連絡は漏れなく入ってくるので、手間の問題を別にすればメディアリストの更新は簡単です。

 しかし、スタートアップや中小企業の広報が記者リストを更新するためには、自ら動いて情報を仕入れるしかありません。人事異動の記事で調べる手もありますが、細かな連絡先まで突き止めるのは難しいものです。例外的かもしれませんが、小さな会社だとしてもメディア側にニュースバリューの高い情報を提供してくれると認識された広報担当者には異動の連絡などが入ってきます。

 非情なもので、たとえ大企業の広報担当者だったとしても、メディアに対して有益な情報を提供できていない担当者には多くの情報は集まりません。もちろん企業の広報部門という組織に対しての情報は入ってきますが、それ止まり。一方、大企業の広報担当者の中で、最もメディアとの信頼関係が築けている担当者つまり有益な情報を提供している広報には、異動の理由や付帯情報などの知っておくべき情報が集中して入ってくるものです。大変シビアな世界です。

 大企業の広報でもない限り、さらには有益な情報を提供していない限り、こうした記者の異動などに関する情報が入ってこないのが当たり前と思っておいていいでしょう。人事異動の情報が真っ先に入ってくる、もしくはメディアの記者や編集者に本音で相談できる広報担当が部署にいるのであれば、ぜひ評価してあげてください。

 よくメディアとのパイプを強くしたい、関係を構築したいという相談を受けることがあります。長い関係性を築きたいのであれば、事前の準備を怠らないよう気を付けましょう。メディアとのつながりが“お友達”関係のように見える広報担当者がいて、そんな関係に憧れている方がいるかもしれませんが勘違いしてはいけません。基本はビジネスパートナーです。回り道に思えるかもしれませんが、広報としてはニュースバリューの高い情報を用意し続けることが、結局のところメディアとの強い関係構築への近道なのです。

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『マスコミ対策の舞台裏 役員からの電話で起こされた朝』

『マスコミ対策の舞台裏 役員からの電話で起こされた朝』
2021年12月28日発行
 連載「風雲! 広報の日常と非日常」が本になりました。これまで3年半以上に及ぶ、約150本のコラムの中から、「マスコミ対策」に焦点を絞って再編集。企業や個人までも手軽に情報発信できるSNSがもてはやされる今日ですが、“バズった”記事の出どころをたどると、マスコミの記事や番組であることが少なくありません。だからこそ、企業は「情報の源流」でもあるメディアへの対策を十分に練り、正しい情報を伝え、記事や番組として発信してもらう重要性がこれまで以上に高まっていると言えます。本書は連載でおなじみの現役広報パーソンである二人の著者(鈴木正義氏、遠藤眞代氏)が、20年以上にわたる記者や編集者との生々しい駆け引き、社内でのあつれき、成功談・失敗談から導き出された「記事や番組に採用されるためのテクニック」「メディアとの関係構築法」「危機感管理術」などを、当時の現場の様子や本音を交えながらリアルに書きつづっています。読み物としても楽しめる中身の濃い1冊に仕上がっています。

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