以前、大胆にも「大政奉還」のプレスリリースを書いたところ、多くの方々から反響がありました。そこで今回は「本能寺の変」を題材に、広報にとって難易度の高い危機管理について学びましょう。

現在の京都市「本能寺」の本堂 (写真:Skylight/PIXTA)
現在の京都市「本能寺」の本堂 (写真:Skylight/PIXTA)

「危機対応の5大原則」とは

 広報業務で最も難しい仕事といえば、やはり危機対応でしょう。そのやり方を間違えると、世間やマスコミから「説明責任を果たしていない」と批判されます。ぐだぐだの対応をしてしまっては、必要以上にネガティブな印象をばらまいてしまうことにもなりかねません。そこで今回は「危機対応の5大原則」と私が勝手に呼んでいる原則について、歴史的な“あの事件”を題材にお話ししてみたいと思います。

 まずはその事件に関する、プレスリリースをご覧ください。

報道発表資料

天正10年6月3日
本能寺

当寺院の火災発生について

 天正10年6月2日早朝、本能寺(京都市)御殿において火災が発生いたしました。同日鎮火しておりますが、宿泊中の尾張在住の男性(48歳、以下男性)が行方不明なことをはじめ、多数の犠牲者が出ました。近隣住民の皆さま、関係の方々に多大なるご心配とご迷惑をおかけしていることを深くおわびいたします。

(1)発生場所:当寺院御殿付近

(2)原因:消防の現場検証によりますと、男性が宿泊していた御殿付近が激しく燃えていたことから、男性またはその関係者による失火とみられます。

(3)経緯:男性は前日から当寺院で茶会を開催し、そのまま家臣数十人と宿泊していました。2日朝6時頃、約3000人の武装集団が「敵は本能寺にあり」など口々に叫び当院を取り囲み、男性に対する下克上が発生しました。
 その後男性の宿泊していた御殿から出火、御殿は全焼し男性の行方は今も不明です。

(4)影響:約30人余りがお亡くなりになりました。ただしこの中には武装集団との戦闘で亡くなられた方を含みます。また男性をはじめ数人が行方不明です。
 当院では、御殿をはじめ主要建屋を焼失しています。このため当面の間は寺院としての営業を休止いたします。再建時期は未定です。

(5)今後の対応:営業再開後は警察、消防など関係機関にご指導をいただきながら、不意の下克上などに備え当院の警備と防火対策を強化して再発防止に取り組んでまいります。

 ……と、こんな感じでしょうか。

 先に述べた5原則とは「謝罪」「事実関係」「原因・経緯」「影響」「対応・再発防止」です。この要素がそろっていないと、必要以上に広報対応が長引いてしまい、企業の対応が批判を受けることにもなりかねません。

 危機対応が失敗しているケースに共通しているのは、この5つのどこかが破綻していることです。その結果、責任逃れをしている、事実を隠蔽しようとしているといった批判を招いています。時として当初の事案そのものよりも、事後対応のまずさが大きな批判を引き起こすことがあります。そうならないため、具体的に5原則に沿ってリリースを見直していきましょう。

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『マスコミ対策の舞台裏 役員からの電話で起こされた朝』

『マスコミ対策の舞台裏 役員からの電話で起こされた朝』
2021年12月28日発行
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第1章 広報しか知らないマスコミの素顔
第2章 取材対応こそ危機管理の要
第3章 経営者が知っておくべきマスコミ対応の落とし穴
第4章 掲載を勝ち取るマスコミへのアプローチ
第5章 天国と地獄が交錯するプレス発表会
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