盛り上がった米大統領選挙。民主党のバイデン氏の勝利で幕を閉じた……と、すんなりコトは運ばないようです。騒動の中心は言うまでもなく共和党のトランプ氏。破天荒な発言やバイデン氏との対立構造は世界中の関心を集めました。このビッグイベントを広報視点でながめると、学べることは多そうです。

対立構造が人々を引きつける ※画像はイメージ(画像提供:kovop58/Shutterstock.com)
対立構造が人々を引きつける ※画像はイメージ(画像提供:kovop58/Shutterstock.com)

マスコミが求める「対立構造」

 ここ最近の大きなニュースといえば、何といっても米国の大統領選挙でしょう。2020年11月18日現在、バイデン氏は勝利宣言を行ったものの、トランプ氏は裁判も辞さぬ構えでまだ敗北を認めていません。これは政治コラムではないので、選挙結果やそれぞれの候補者とその政治方針を論じるつもりはありません。しかし、大統領選挙を世界で最も注目される広報活動として捉えると、いろいろと学べる面もあるのではないかと思い、ちょっと広報視点で振り返ってみることにします。

 そもそもなぜ米大統領選挙はこうもマスコミから注目されるのでしょうか。当然、米国は超大国であり、そのトップが誰になるかは世界の全市民の重要な関心事です。それでも今回の大統領選挙、もしかすると菅義偉首相の自民党総裁選よりもマスコミの取り上げ方は大きかったのではないでしょうか。結果の見えている総裁選に比べ、今回の大統領選挙は報道すべき話題が山盛りでした。

 まず、何といってもトランプ氏のキャラクターの強さです。そのトランプ氏苦戦の論調で序盤は始まり、そうかと思えば終盤のトランプ陣営の巻き返し、拮抗する開票速報で「もしかしてトランプ氏ワンチャンあるかもよ!」となり、要するにその「対立構造が面白かった」のです。

 マスコミに大好物というものがあるとすれば、それは対立構造です。巨人対阪神、ホンダ対ヤマハ、ソニーウォークマン対アップルiPod、VHS対ベータ、きのこの山対たけのこの里……などなどです。それぞれのキャラクターの違いが鮮明で、実力も拮抗している者同士が競い合うのは、報道として面白くないはずがありません。

 誤解のないように書いておきますが、報道の本分は国民の知る権利に応えることです。しかし、その報道の本分を押さえたうえで、なおかつ面白い=読まれる、見たくなるニュースを目指すのは、表現者として当然の行動だと思います。実際、我々大衆は面白いニュースを求めています。

 「ウチの会社、全然マスコミから取り上げてもらえないんですよねー」と悩んでいる広報も多いかと思いますが、ライバルとの「面白い対立ストーリー」を作り出してみるのも手です。最後に例に出した「きのこたけのこ戦争」なんか、そのいい例ですね(まああれは宣伝ですが話題になりましたよね)。ただ、少しの差で自分たちに有利な結論が出てくる勝算がないと、逆効果になってしまいます。