悩み抜いたThinkPad X1 Foldのリリース

 ここでもまた、「画面が折り畳めると何がうれしいのか」をどう伝えるかという点に苦労しています。

 「画面を折り畳むことで、大きな画面サイズながらコンパクトに持ち運べます」

 機能だけいうとその通りなのですが、いかにもスペック的なメッセージです。とはいえ情緒的な説明をリリースで書きつづりすぎると、少々キモいのではないか。でもどうにかして伝えたい。リリースを書いては消す日々か続きました。

 結局ThinkPad X1 Foldについて最終的にどう書いたのかというと、「スマートフォン、タブレット、ノートPCの長所を兼ね備えたモバイルコンピューティングの新カテゴリーです」という文言を付けました。ほぼ再定義しちゃったわけです。

モバイルコンピューティングの新カテゴリー、レノボの「ThinkPad X1 Fold」。鈴木氏が“再定義”したメッセージは届くか(画像提供/レノボ・ジャパン)
モバイルコンピューティングの新カテゴリー、レノボの「ThinkPad X1 Fold」。鈴木氏が“再定義”したメッセージは届くか(画像提供/レノボ・ジャパン)

 私も広報畑でいろいろ辛酸をなめてきていますので「新カテゴリーです」とプレスリリースに書いたからといって、さようですかと記事に書いてくれるわけではないことは百も承知です。結局良い商品かどうかを決めているのはユーザーであり、そのユーザーの声があってはじめてマスコミもお墨付きを与えるのだと思います。

 それでもなぜコンピューティングの新カテゴリーと書くに至ったかというと、ある時点でこの製品を世間が振り返るとき、「これを目指していたのですよ」という、つくり手の気概を残しておくのもプレスリリースを出す意味の一つだと思ったからです。

 もしかすると遠い未来、太陽系第3惑星を調査した超古代文明学者が西暦2020年ごろの地層からこのプレスリリースを発見し、「現在我々のパソコンの画面が折り畳めるようになっているのは、このようなつくり手の意思があったのだな」と言ってくれる日が来るかもしれませんので。

 それくらいの気概を持って臨める新製品があるというのは、広報として本当に幸運なことだと思います。さて、そのThinkPad X1 Fold、発表後に面白い現象を巻き起こしました。その件については次回とさせていただきます。