「社内広報」はメディアと関係の深い企業広報や製品広報に比べて地味な印象を受ける人も多いでしょう。しかしコロナ禍の現在、その見方が変わるかもしれません。在宅勤務で社員間のつながりが希薄になりがちな現状を何とかすべく打った手が、意外にも社員から大好評でした。

在宅勤務が続くと同僚の顔が恋しくなります ※画像はイメージ(画像提供:REDPIXEL.PL/Shutterstock.com)
在宅勤務が続くと同僚の顔が恋しくなります ※画像はイメージ(画像提供:REDPIXEL.PL/Shutterstock.com)

海外企業が「社内広報」を重要視する理由

 社内広報――。どんな響きでしょうか。「社内報」を作っている人、大方の印象はそんなところかと思います。実は「広報」と一言で言っても、ある程度の規模の広報部門では担当が分かれています。花形はなんと言っても企業広報。日本経済新聞をはじめとするメジャー媒体に経営者の取材を設定する担当ですね。製品担当の広報も、華やかさという点では負けていないでしょう。IR(投資家向け広報)担当も会社によってはいます。株主対応、大事ですね。危機管理担当、これもいざというとき頼りになるメンバーです。こうして見ると「社内広報」がやや地味な印象なのは否めません。

 しかし、実は海外企業では「インターナルコミュニケーション」といって、経営者のそばにいる重要な仕事とされています。海外の企業はM&Aも活発で、人材の流動性も高いことから、定期的に経営者の考えを分かりやすく伝えたり、従業員の相互コミュニケーションを図ったりすることで、職場の満足度や会社へのロイヤルティーを高める仕事は重要なのです。日本でもM&Aや転職率は昔に比べ高くなっているので、社内広報の重要性はもっと見直されてもいいように思います。

 特にコロナ禍で社内のコミュニケーションが不足しがちな現在、社内広報は本領発揮のときです。

 私の勤めるNECパーソナルコンピュータは、関係会社であるレノボ・ジャパンなども含めると2000人以上のスタッフが東京オフィスで働いていますが、そのほぼ9割が現在テレワークをしています。これはこれで結構自慢なのですが、別な見方をすると、9割の人間が顔を合わさずに業務をこなさなければならないという、前例のない事態とも言えます。長期間、在宅勤務が続けば、やはり同僚の顔が恋しくなります。そこである日、デビット・ベネット社長からこんなことを言われました。

 「鈴木さん、ここは一つ何か考えてよ」

 実際にはこんなごく簡単な一言を言われただけですが、私の耳には「今後のニューノーマルの時代にあって、テレワークを積極活用し、ワークライフバランスの取れた先進企業になっていく上で、最も重要な社員のコミュニケーションを担っている鈴木さんが何とかしてくれないか?」というように聞こえました。

 そんな社長の言葉をいいように解釈し、がぜん張り切ったのはいいのですが、正直なところ何をやったらいいのかさっぱりアイデアが浮かびませんでした。やむなく「バーチャルオールハンズ(社員集会)」というありきたりな企画をしてみました。

 実は私はコロナ禍以前の経験でオンラインイベントにはあまりいい印象はなく、せいぜいリアルイベントの劣化版くらいに思っていました。従ってこのイベントも、やらないよりましだな……というくらいの気持ちで招集をかけました。

 しかし結果から言いますと、大成功でした。