どのような場合も、広報担当者は取材対応者や自社の製品・サービスを魅力的に伝えるための配慮を怠りません。いい写真や映像を撮ってもらえるよう、取材場所の事前チェックも当然。最近はオンライン取材が増えているので、これまでとは違った配慮が必要なようです。

取材対応者が魅力的に見えるよう、広報担当者は配慮を欠かしません ※画像はイメージ(画像提供:Diego Cervo/Shutterstock.com)
取材対応者が魅力的に見えるよう、広報担当者は配慮を欠かしません ※画像はイメージ(画像提供:Diego Cervo/Shutterstock.com)

“製品映え”を意識した衣装を選ぶ

 広報にとって「商材」は人物と製品(サービス)です。広報担当者は記者や編集者に対し、その商材が少しでもよく見えるように、いつも工夫を重ねています。取材のアテンドをする際には写真映りを良くするため、少し前から取材場所に入って観葉植物を用意したり、ブラインドで採光を調整したりするなど環境を整えます。企業によってはインタビューの場所にショールームを選び、取材対応者の背景に担当した商品が映り込むよう工夫していると思います。

 例えば製品発表会のときなどカメラマンがモデルに押し寄せ、人物入りの製品写真を撮影できないことがあります。そうした場合、広報担当者が自ら“手タレ”となって、その場をしのぐことがあります。そんな事態を想定し、広報はどのような装いをしておくべきでしょうか。当たり前ですが、製品が映える色合いの服が適切です。これは発表会に参加するモデルや登壇者の衣装を決める際にも意識すべきことですが、基本的に濃い色の製品であれば白っぽい淡い色調の服、白っぽい淡い色調の製品であれば濃い色の服と心づもりをしておくと楽です。

 意外と盲点なのが、製品が白や黒といった無彩色ではなく、色物(カラー)だった場合です。例えば赤い製品を発表する際、モデルの衣装で気を付けるべきポイントは何でしょうか。Web媒体なら画像はカラーですから、肉眼で見たバランスを信じて衣装を決めても問題ありません。しかし白黒の新聞記事となると、話が違ってきます。

 赤い製品は白黒媒体では真っ黒になってしまいますから、衣装と同化してしまう可能性が高い。白黒での映りを簡単に事前確認する方法は、コピー機だと教わりました。発表会前日のリハーサルでは、ぜひ商品×人物の写真を撮って、白黒コピーしてみてください。肉眼で見るものとは違う世界が見えてくるはずです。

 融通が利くなら、製品を小さく見せたければ背の高い広報担当者、大きく見せたければ小柄な広報担当者が対応するといいでしょう。そしてカメラのような顔に近づけて使用する製品なら、製品を持つモデルは肌が美しい方がいいでしょう。モデルをメインにした写真も製品露出の一手です。一概に言えませんが、発表効果を最大化する見せ方を常に意識しておきましょう。

オンライン取材で“映える”画面をつくり込む

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、Web会議システムを使ったオンラインでの取材や打ち合わせが増え、その際の映り方が気になるようになってきました。オフィスでの仕事も再開されつつありますが、まだまだオンラインによる発表会や取材はあります。withコロナ時代の今、リアルの発表会が復活したとしても、オンラインとの併用は当面の間、続くでしょう。

 オンラインによる取材も、最初の頃は書斎やリビングなど、カメラに映り込む背景を整えていたかと思います。現在は少し進んで“場をつくり込む”段階に入ってきました。場をつくり込むといっても、遠隔地にいる取材対応者の場を直前に整備するのは困難です。広報にできるのは、パソコンやタブレット、スマートフォン内蔵のインカメだけで、どこまで“映える”場を仕立てられるかについて事前にアドバイスし、取材対応者自身で調整してもらうことくらいです。

 つい昨日、映画監督で映像制作会社ムービーインパクト(東京・大田)代表の神酒大亮さんに、簡単にできる映像テクニックを教えていただきましたので、そのエッセンスをいくつかご紹介したいと思います。

 例えばノートPCで作業しながらオンライン取材やビデオ会議に参加してしまうことはありませんか。これだとPC内蔵のカメラを見下げる格好になってしまいます。結果、視線が落ちてしまい、下からあおられたようなバランスの悪い絵になるのでNGだそうです。

 映画では「箱馬」と呼ぶそうですが、ノートPCの下に本などを入れてかさ上げし、内蔵カメラの位置を目、できればそれより少し上にくるように調整するといいそうです。そうすることで視線が上がり、姿勢も良くなります。少し距離を取れば、いわゆる役員写真などでよく使われる、頭から胸までが画面に入るバストショットになります。ちまたでも写真は少し見上げるくらいのほうが若々しく見えるといわれていますので、効果はあるでしょう。カメラ位置を調整するだけでもだいぶ印象が違って見えるので、ぜひ試してください。

 簡単にできる照明のポイントとしては、逆光とは反対の環境をつくるということでした。背景の環境を暗くすることで取材対応者の顔がより浮き上がり、きれいに映るそうです。実は私が開催したウェビナーの際、Zoomのバーチャル背景を使うため、レジャーシートをブラインドの前にぶら下げ、その前に座って行いました。その結果、いつもと変わらない環境にもかかわらず、肌色がきれいに映りました(関連記事「ずぶの素人が『Zoomウェビナー』初挑戦 ほろ苦い顛末」)。レジャーシートで外からの太陽光を遮った結果なのだと、神酒さんに伺って合点がいきました。他にもプロならではのテクニックをたくさん教えていただいたので、機会があればいずれ紹介したいと思います。

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