取材や記者発表会のスケジュール調整は重要ですが、何より大切なのは本番当日、“その場”に記者や取材対象者などがそろっていることです。最後の確認を怠り、時間や場所の指定を間違えてしまっては広報にとって一大事。“あるある”だと言って笑っていられませんが、失敗談をいくつか紹介しましょう。
発表会の案内は記者にうまく伝わっているか
広報発表会当日は必ず朝4時ごろに目が覚めます。案内が間違っていないか、内容は分かりづらくないかと、うなされて起きるのが恒例です。夢の中では日時や場所がメディア側にうまく伝わっていなくて大失敗……それで、がばっと起き上がる。
毎回こんな状態ですから、発表会がスタートするまで気が気ではありません。取材対応者と記者側とのスケジュール調整は、単純ですがミスをするとダメージが大きいものです。今回はそうした、予定を調整する際に誤解や間違いを起こしがちな、コミュニケーションの「落とし穴」について紹介します。
【曜日vs.日程】
ビジネスパーソンに空いている日程を聞くと、「月曜日の午後と水曜日の午前中」というように“曜日”で答える方が多い。定例ミーティングに追われているのでしょう。一方、記者から頂くスケジュールは「11日、13日、19日」など日付も多い。普段はこれでも構いませんが、週や月をまたいでスケジュール調整をする場合は混乱しやすい。スケジュール確認は「11日(月)、13日(水)、19日(火)」と曜日を、さらに月も書くのが確実です。
【時間表記】
午後の時間帯は間違えやすい。12時間表記と24時間表記の“わな”。1時、3時、13時辺りは特にややこしい。これも人によって表記の好みが異なります。
【カレンダーへの登録ミス】
ここ数年で何回がやってしまった「Googleカレンダー」への入力ミス。なぜか1日後にスケジュールを入れてしまう怪奇現象。指がかさついて、誤動作するのか。メモを取らずにスマホのスケジュールに直接入力する場合は気を付けなくてはなりません。
「待ち合わせ場所」に潜むわな
しばらく「外出自粛」が続いていますが、そろそろ外で待ち合わせもできるようになるのでは、という期待を込めて“ある広報担当者”が犯した、待ち合わせ場所にまつわる失敗を披露しましょう。
【略称のわな】
品川には「品川インターシティ」、大崎には「ゲートシティ大崎」というビルがあります。それぞれ略して「インターシティ」「ゲートシティ」と呼ぶ人がいます。多分、今もいるでしょう。こうした施設や場所の“略称”は要注意です。こんな失敗談がありました。
あるとき、その広報担当者は「品川インターシティ」での取材を組みました。社内の取材対応者へのメール、記者へのメールにも「インターシティでお願いします」とお願いして、当日を迎えました。
その広報担当者は品川インターシティのオフィス入り口で待機。ところがその記者はいつもきちんとされている方なのに、5分たっても10分たっても姿が見えない。遅れるなら絶対に連絡を下さる方だ。広報担当者は心配になって電話をしました。
広報担当者:「どうされましたか。何かありましたか」
記者:「え、ずっと待っているのですが……」
広報担当者:「ええっ、どちらにいらっしゃるのですか」
記者:「大崎ですよ。ゲートシティ大崎」
広報担当者:「私、品川にいます」
記者:「えっ!」
記者と社内の取材対応者にも迷惑を掛ける大失態を犯してしまいました。どの企業でも社内では略称を使うことが多い。そしてその広報担当者は、特に意識することなく日常的に略称を使っていた。そして“事件”は起きたのです。
その取材に対応した部署は、以前ゲートシティ大崎にオフィスを構えており、品川インターシティに引っ越したばかりでした。“なんちゃらヒルズ”みたいに、何でもかんでも“シティ”を付けるんじゃないよ、ややこしい……と逆切れしても後の祭り。明らかにその広報担当者の詰めが甘かった。その広報担当者もかつて略語が使われ始めた頃は混乱して、頻繁に「大崎なのか」「品川なのか」と確認していましたが、そんな過去のことなどすっかり忘れていたのです。場所のURLをメールで送るだけでは足りないことを、改めて思い知りました。