2つ同時参加も、オンライン会見の利点

 新型コロナウイルス禍という状況で広まったオンライン会見ですが、実はメリットもあるようです。前出の大河原氏によると、ある会見会場から別の会場まで移動時間がかかる場合、例えば午前11時からの会見に出ると正午からの会見は諦めなければならない。それがオンラインなら連続して参加できるようになるそうです。さらにPC2台を使った「2会見同時参加」の離れ業も考えられます。

 とはいえ、オンラインシステムは各社ログイン方法などがばらばらなので、接続までに少し時間を取られてしまいます。そこで大河原氏が提案するのは、「開始“00分”、終了は“50分”をスタンダードに」というものです。それだと混乱がなくなり、参加できる会見の数も増えますから、広報とマスコミの双方にとってよいことなのでは、ということでした。私も賛同したいと思いますが、もしこれが標準になれば、大河原氏は後世「日本のオンライン会見の父」と呼ばれるかもしれませんね。

 オンライン会議機能を使った場合、多くは録画可能なので、会見に参加できなかった方に録画を見ていただくことも可能です。これも大きなメリットでしょう。

オンライン会見の「お作法」

 広報が気を付けるべき、オンライン会見ならではの「お作法」も少しずつ見えてきました。

 まず会見終了後、配布資料を参加者にメールで送ること。オンライン参加者が無記名または匿名の場合、なんらかの方法で資料希望者のメールアドレスなどを取得する必要があります。

 一方、オープンなURLで公開する場合は誰でも見られます。そもそも記者会見というものはオープンなコミュニケーションなので問題ないはずですが、言い間違いや、ましてや不適切発言などがないよう、より慎重にならなくてはなりません。

 質問の受け付け方法もシステムによってまちまちです。多くはチャット機能で質問できますが、やはりリアルタイム性は劣ります。そこで「質問の多い内容をまとめて回答」「すべての質問に追ってメールで回答」など、各社工夫を凝らしているようです。

 PCのブラウザーがWeb会議に対応していなかったり、マイクをオフにしないと聞き手の声が会場に聞こえたりしてしまうケースもあり、「参加する記者にも注意が必要」(大河原氏)なようです。

 しかし考えてみると「会見が重なって行けません」「後から資料だけでももらえませんか」といった記者さんからの声はこれまでもありました。もしかすると、新型コロナウイルスの感染収束後も、オンラインハイブリッド会見はスタンダードなものになっていくかもしれません。広報の世界も少しずつ変わってきているようです。