正確な情報を手に入れることの大切さ

 さて、「甲の資料の正確性と有用性」が最も重要になる局面は、リスク案件と向き合ったときでしょう。リスク対応の経験がある広報の方ならお分かりだと思いますが、マスコミに対して広報担当者が「私は知りません」は通用しません。そんなときの社会部の記者は、震え上がるほど怖い。いつも優しい記者さんでさえ、笑顔が消えて緊急事態モードに切り替わります。取材現場は誰も逃がしてくれない、八方ふさがりの修羅場と化します。

 何かしらのリスク案件が起こった際、マスコミの間で「あそこの広報担当者はダメだ」とか「取材対応がなっていない」といった話題がよく出ます。実際にアウトプットの際にミスをした可能性は否定できません。

 通常営業の広報は、企業の窓口業務として取材をアレンジするなどの仕事を担っています。電話やメールでのやり取りも多いでしょう。しかし、ひとたびリスク案件が起きた場合、広報は企業のスポークスパーソンもしくは会社の代弁者に格上げされ、いきなり重責を担うことになります。恐ろしいことに、広報担当者が電話で回答した発言がそのまま、一語一句が、会社の見解として記事になることもあります(もちろん普段もそうですが……)。

 そんな中、「あそこの広報担当者はダメだ」とか「取材対応がなっていない」といった不満を持たれる主な原因としては、(1)つじつまが合わない、(2)隠している、(3)対応が納得できない、(4)スピードが遅い、などが考えられます。つじつまが合わない、隠している場合は、もしかしたら広報に入っている情報が正確ではない可能性があります。仮にそうだとしても、広報は「あのときは知りませんでした」とか「社内から情報が上がってきていなかったので仕方ない」とか「誰かが嘘をついていた」とは言いづらいでしょう。実際は企業の中にいないと分かりませんが、そうしたときはどうしても広報担当が板挟みになっているのでは……と肩入れしたくなってしまいます。

 インハウスでもフリーでも広報にとって、ネタ元の情報の正確性と有用性とは死活問題です。引いてはそれが会社を守ることになるのだと、広報以外の方にも意識をしておいていただきたいと思います。