便利なプレスリリース配信サービスですが、毎日大量に届くだけに記者や編集者はいとも簡単にスルーしてしまいます。しかし一瞬でも彼らの目に留まれば広報としてはひとまず成功。かすかな記憶が記事化につながることも。それにはメールのタイトルへの工夫が重要。どうすればいいのでしょうか。
プレスリリース配信サービスの是非
プレスリリースを送っても、せいぜい10通しか読まれないと聞いて「プレスリリースをメールで送るのは無駄ではないか」と言われてしまいそうです。届いたリリースを全部読む方もいますが、「タイトル」「発信者」「リード文」だけを読んでいる方が実際には多い(関連記事「マスコミ相手のメール配信は『78文字』で勝負が決まる」)。もちろん何とか記事として取り上げてもらいたい案件では、メールだけでなく記者や編集者への個別対応が必須です。
プレスリリースのメール1本だけでは採用される確率が低いと分かっていながら、並行してメールを送り続けされているのにはわけがあります。
例えばプレスリリース配信サービスのPR TIMESを使った場合、リリースは数十媒体に“転載”されます(私自身はこれを「記事」とは呼びませんが)。たった数万円でネット上に履歴は残りますし、SEO(検索エンジン対策)的にもある程度効果のあるよくできたサービスです。たとえ記事にならなかったとしても、広報業務として何となく結果は出せた気持ちになれます。
私が面識のあるメディア関係者(新聞、ウェブ、雑誌などで活躍されている合計109人の方々)に対して独自に実施したアンケートでは、「一斉配信サービスは即ゴミ箱行きにしているので、ぜひお使いにならないようお願いします(^^;;」という意見もありました。ただ本音を言えば、背に腹は代えられない思いもあったりします。たとえ配信サービスを使ったとしても、プレスリリースを送っておけばニュースバリューが伝わり、取材や露出につながるケースもありますから。
お願い、一瞬でいいから
記事を書いてほしいメディアがプレスリリースのメールを開かず、記事化に至らなかったとしても……という場合の話も書いておきます。
短期的に見ると記事にならなかったプレスリリースは無駄骨のように思えます。しかしコンマ1秒でもリリースのタイトルがメディア側の目に触れ、企業の進捗を伝えられるとすれば、目的の1つは達成しています。
記者や編集者の全員が速報記事を書くわけではないので、頭の片隅に「そういえば、前も同じ企業に関するメールが来ていたな」と爪痕を残すことも、プレスリリースメールの大きな役割です。気が遠くなるような話と思われるかもしれませんが、ほんの一瞬のJFYI(Just For Your Information)でもサブリミナル効果(無意識への働きかけ)は期待できます。実際、「えっ、なぜ今ごろ?」と驚くようなタイミングで取材依頼をもらうこともあります。継続は力なりです。
ちなみに価値が低いと感じさせる情報を送り続けると……。
「明らかに媒体カラーに合わないものは送らなくてもいい。とりあえず送信してます的な情報が多いと、その会社からのメールは迷惑メールフォルダー行きになる」
のようなことを言われてしまいますからご注意ください。一度フィルタリングされたら終わりです。私のメールはフィルタリングされているんだろうか、と想像するだけで寒気を覚えます。迷惑フォルダーやゴミ箱は広報の鬼門。何でもかんでも送りつけることだけは気をつけないといけません。