1日に大量に送られてくるプレスリリース。独自に実施したアンケート調査では「読まれるのはせいぜい10通」という結果に。それでも「読まれるリリース」は確実に存在します。現在はメールでの配信が主流ですが、記者や編集者は何を手掛かりに「読む」「読まない」を判別しているのでしょうか。

記者や編集者に開いてもらえるプレスリリースメールはどこが違うのか…… ※写真はイメージです(写真:Rawpixel.com/Shutterstock.com)
記者や編集者に開いてもらえるプレスリリースメールはどこが違うのか…… ※写真はイメージです(写真:Rawpixel.com/Shutterstock.com)

FAX中心の時代より簡潔な情報が求められる

 書店で山ほどある本の中から“ある1冊”を手にするきっかけといえば、やはり「タイトル」。もちろんウェブの世界でも、記事のタイトルは選ばれるためのトリガーになります。ニュースサイトの中には記事を読んでもらう手法として、タイトルやページ内の一部を変えたAパターンとBパターンを用意し、人気のあるほうを残す「ABテスト」を実施している媒体もあるとか。キラリとセンスの光るタイトルをひねり出すのは、プロフェッショナルでも至難の業なのでしょう。

 以前「読まれるのはせいぜい10通、プレスリリース受難の時代」で書いたように、膨大に届くプレスリリースの中から実際に読んでもらえるものは本当に少ない。情報発信する側は、読ませる工夫が不可欠です。少なくとも「広報のプロ」である以上、その高いハードルから逃げるわけにはいきません。

 でも安心してください。同じような内容の文章でもプレスリリースと記事は全く違います。作家になる素質を持ち合わせていなくても、プレスリリースを立派に成立させることは可能です。中には情緒的で美しい随筆のようなフレーズがちりばめられたプレスリリースもあります。しかし記者向けの資料という性質上、プレスリリースは説明文としての機能をしっかり果たすことが最優先です。それを踏まえた上で、タイトルにも配慮する必要があります。

 FAXがメインだった頃のプレスリリースは、「1ページで完結させること」が重視されました。もちろん今でも伝えたい内容を簡潔にまとめるのは重要です。ところが現在主流のメールの場合、相手への負担が少なく、すぐに理解してもらえるレベルの情報量はFAX時代の1ページよりも少なくなっています。メールなら紙と違ってたくさん情報を盛り込めると思っているなら、それは大きな“誤解”かもしれません。今や忙しい記者や編集者に読んでもらうためには、わずか「78文字」で勝負する必要があるのです。

3割超が件名に「興味のある文言」を重視

 面識のあるメディア関係者(新聞、ウェブ、雑誌などで活躍されている合計109人の方々)に対して独自にアンケートを実施したところ、「忙しくてメールはスマートフォンで読むことが多いから、それを意識してほしい」というコメントを頂きました。確かに移動が多いマスコミの方は、スマートフォンでメールを受信しているケースが多いでしょう。

 そこで私の場合、受信メールリストに表示された際に大まかな内容が把握できるよう、発信者(全角15文字以内)、タイトル(同20文字以内)、あとメール本文の冒頭は43文字を意識しています。この合計「78文字」の中に必要な情報を盛り込めるかどうかが勝負のしどころです。使っているスマートフォンやメールアプリなどによっては、さらに簡潔にしたほうがいい場合もあるでしょう。

 アンケートではメールの件名表示などから「プレスリリースのメールを開くかどうか決める要素は何なのか?」についても聞きました(複数回答OK)。その結果は以下のグラフのようになりました。

【質問】「プレスリリースのメールを開くかどうか決める要素は何なのか?」

出所:2019年9月~10月実施「マスコミアンケート」</br>(c)2019Doen 
出所:2019年9月~10月実施「マスコミアンケート」
(c)2019Doen 

 この結果から1位はニュースバリュー、2位は企業バリューを重視しているということが分かります。面白そうだと感じれば、企業の知名度などはひとまず置いておいて約3分の1の記者や編集者がメールを開く。それほど多くありませんが、送信者の名前や個別送信かどうかにもメールを開こうと思わせる力がありそうです。

 「僕個人宛てに送られて来たメールだと、開く可能性が高いです」「数多く届くので、正直送信者で判断してしまう部分があり、担当企業や知っている広報の方からのメールを優先的に見ています。それ以外はほぼ読まずに……ということも」。広報としてはこのように言われるよう頑張りたいですね。

企業名だけのタイトルはやめてほしい

 おまけとして今回のアンケート結果から、耳の痛いご意見も紹介しましょう。

 「タイトルに企業名だけというのはやめてほしい。開いても関係ないってときは時間の無駄感が大きいです」。……これはもったいない。

 「メールアドレスで送信者が誰か分かる場合と分からない場合で、件名に必要な情報は変わります。例えばメール配信サービスからなら件名に企業名は必須ですが、大手広報からのリリースの件名に企業名は邪魔です」。特に長い社名の会社は文字数のロスが多いですね。

 「発表会の案内には件名に【発表会】などと付けてほしい。差出人で分かるのに、件名が何でも社名から始まり、リリースと発表会の案内の違いが分かりづらいです」。このコメントにはある有名企業の名前が書いてあったのですが、さすがに削除しました。心当たりのある広報担当者はぜひ見直しを。

 次回は今回のアンケートの1位だった「件名に興味のある文言」について掘り下げます。タイトルを含め、78文字の中に入れておきたい要素、入れないほうがいい要素をより具体的に見ていきます。