ネットニュース時代の今、「写真映え」も意識すべき

 私が社内の関係者によく説明するのは、記者会見というのは確かに我々が主催するものではありますが、取材に来る記者にとっても仕事の場であり、読まれる記事、質の高い記事というアウトプットを出さなければならない場です。競合メディアとの戦いの場でもあり、フリーランスにとっては次回以降の仕事を決めることにもなる、生活が懸かっている場ということもあるでしょう。

 これらの取材活動を妨げない限り、記者に対しても会見にブランディング要素が必要なことは特に異論ありません。記者といえども人間なので、きれいだな、格好いいな、と思わせる演出には多少なりとも心が動かされことはあると思います。ただ新製品の展示什器(じゅうき)が鏡張りだったり(撮影するカメラマンも写りこんでしまう)、什器がLEDでピカピカ光っていたり(LEDのせいで製品の色がおかしく撮影されてしまう)すると、怒られるのでそこはやりすぎないよう注意が必要です。

 こう書くと「地味で質素な発表会こそが正義」であるかのように受け止められたかもしれません。しかし発表会としての華やかさというものも、昨今は必要だと思います。

 特にネットニュースでは最近「OGP(Open Graph Protocol)」といわれる、SNSなどでシェアされた際に表示されるサムネイル画像を編集側は重視しています。実際このOGPの良しあしでかなりアクセス数が違ってくるので、我々広報サイドとしても「映える」写真を撮ってもらうための工夫をすべきでしょう。

「アンベール」は使い方次第

 また派手な発表会といえば、新製品のアンベールという儀式です。ジャジャーンとばかりにスモークやらレーザー光線やらの演出の入った後に壇上の発表者がサッと布を取る、あるいはステージからせり上がって登場してくる。こうした一見登壇者の自己顕示欲を満たすためだけにあるような瞬間も、ある前提付きならば先のOGPと同じ理由でやってもよいと思います。

 実は多くの場合、発表会の本番前に記者に対し「壇上この辺りに登壇者が立ちます。その後、幕を取ってここに新製品が登場します」といった段取りの説明を行います。さらに多くの場合、会場に入った瞬間に発表資料を手渡すため、どんな製品がこの幕の下で“待機”しているか記者は十分把握し、準備完了の状態でその瞬間を待ちます。

 こうした一種の予定調和である限り、派手なアンベールに対し取材側からのクレームはあまり入らないでしょう。むしろ本気のサプライズで、一体何がどういうタイミングで出てくるか分からないアンベールには、撮影のタイミングを逃したなどのクレームが付く恐れがあります。

 とっておきの発表会、送り手の心理として晴れがましい気持ちはよく分かります。ですが、記者はショーを見に来ているわけではなく、アウトプットを出す仕事をしに来ています。新人記者ならまだしも、ある程度取材経験のある記者ならば、残念ながらこうした派手な会見は「また始まったか」くらいにしか思わないものです。

 いわば会見とは(メーカーっぽい言い方をすると)「成果物」ではなく「中間成果物」なのだと思います。最終成果物である記事を作ってもらうための装置、それくらいの冷静さで広報は社内バランスを取るほうがよいでしょう。