船でクルーズ、クラブ貸し切り、スモークがんがんたいて――。お偉いさんとしては、大事な発表会は派手な演出で場を盛り上げたくなるもの。しかし広報的にはこれが意外と的外れだったりする。報道するマスコミ側の視点で考えてみましょう。

発表会はド派手がいいとは限りません ※画像はイメージ(写真:Anthony Mooney/Shutterstock.com)
発表会はド派手がいいとは限りません ※画像はイメージ(写真:Anthony Mooney/Shutterstock.com)

「東京湾を船でクルーズしながら会見、なんてのはどう?」

 一世一代の製品発表。ここは世間の注目を集める派手な発表をしたい。それにしてもウチの広報は工夫が足らんな、また丸の内の貸会議室か――。

 会社の幹部がこんなことを考え始めると、広報担当にとってまた風雲急を告げる事態となります。

偉い人 「他社がやらないような、ユニークな場所で発表会をやろうよ。それがイノベーティブってもんだよ」

広報 「例えばどんな感じですか(怒)」

偉い人 「東京湾を船でクルージングしながら会見とか、お台場の巨大クラブを貸し切るとか」

広報 「それってマスコミの人から見るとどういう意味があるんですか(怒怒)」

偉い人 「いや、ブランディングだよブランディング。あと、クラブでやるなら夜の遅い時間帯だな~。お酒も出してゲストに芸能人も呼ぼうよ」

広報 「芸能人ゲスト必要なんですかね(怒怒怒)」

偉い人 「あれ? なんかドドドって音がどこかから聞こえる気がするけど……」

 この広報担当者がなぜ怒っているのか考えてみましょう。

 広報がイベントを企画するとき、このイベントがどうアウトプットされるかということを逆算して企画します。つまり発表に関する文字や写真、あるいはテレビの映像としてどう一般の消費者の目に触れることになるのか、ということです。言い換えると一般消費者の目に触れない、記事に取り上げられないであろう部分に工夫をしすぎても効果が薄いということになります。

 一方、記者のニーズとしてはアクセスしやすいこと、メモやPCを操作するためのテーブルがあること、写真撮影をするのに十分な台数の商品があること、会場の照明や音楽が撮影の邪魔にならないこと……こういったことが発表会へのニーズになります。東京湾クルーズやお台場がなぜNGなのかお分かりいただけたかと思います。

 遅い時間にクラブで音楽を流してお酒も出して、というイベントも近年(近年でもありませんが)増えています。特にブロガーやインフルエンサーといわれる方をお呼びする際は、日中は別の仕事をしている方が多いので、夜のほうが比較的集客しやすい。さらに飲食があることや芸能人が来ているといったことも、彼らが出席するモチベーションにつながるようです。

 しかしターゲットが日刊で記事を書いているプロのメディアの場合、会見は午前または午後の早めの時間にセットしないと、新聞用語でいうところの「今日組み」といわれる締め切りに間に合わなくなります。ネットでの情報発信が当たり前の時代、一晩たっただけでニュースの鮮度は急激に落ちるので、会見時間の設定には気を使います。