マーケティング担当の情報は非常に有益

 別の例を挙げましょう。「初音ミク」は今でも大変人気のあるボーカロイドです。12年にソニーが『初音ミク生誕5周年記念モデル』を作ったときのことです。当時、担当者から初音ミクという名前を初めて聞き、そこから全く興味のなかった初音ミクについて勉強し、リリースを作ったのを今でもよく覚えています。調べると非常に人気が高いことを知り、次第にリリース作りが面白くなっていきました。

 売れるかどうか分からないな……と思いながら、11時にそのリリースを配信しました。するとネット上で話題になり、販売開始から約5時間半後には完売しました。すぐに担当者から「遠藤さん、売り切れましたよ。ありがとうございました」という連絡がありました。

 これはすごいと思い、予定にはなかったのですが「記事になるかもしれないから、急いで売り切れたことをメディアに“メール”しよう」と提案し、文面を考え、すぐに実行しました。さすがにリリースを仕上げている時間はないですし、翌日の発表では遅すぎます。

 狙いは的中し、デジタル系のWebメディアが即日記事にしてくれました。7年も前の話ですが、現在も使える手法だと思います。今ならTwitterなどのSNSを通じた発信を組み合わせるのもありでしょう。

 ウォークマンの件も初音ミクの件も、広報活動が成功した要因は、マーケティング担当が広報に協力的で、情報の入手が早かったことにあります。広報自体は情報を持っていないので、周りの人間の協力が不可欠です。そうした中、マーケティング部門からもたらされる数字などは、広報が威力を発揮するために大変重要な情報です。

 もちろん条件がそろわないと、そうそうホームランは打てません。それでもマーケティング担当の方々は広報活動もマーケティングの一環と捉え、広報が料理できなさそうだと思える情報も、どんどん広報側に伝えてほしいと思います。案外、うまく料理できるものですよ。