記者への「おみやげ(話)」を用意すること

 前提として取材を受ける前にその記者が書いた記事を読んで、メディアや記者の特徴を押さえておくことが重要です(関連記事「『なんだこの記事は』 広報が取材対象者に後で怒られないコツ」)。

 その上で取材当日に何ができるか。取材直前はNGワードやその記者への対応の注意点を確認すること。あと大切なのは「おみやげ」の用意。「おみやげ」といっても、クッキーやお煎餅ではありませんよ。他のメディアには話していない初出しの「おみやげ話」です。事前に準備できなくても、取材をお受けするのであれば、礼儀として「おみやげ」を用意したいものです。

 取材に対応するのが真面目なエンジニアタイプなら、「危ない部分は全部私がフォローするから、できるだけたくさん具体的な話をしてください」と言って送り出します。責任を感じ、緊張しすぎて何も話せなくなってしまう人はとても多いのです。

 反対に取材対応者が“盛る”傾向のある話し好きの場合は、「私がしゃべりすぎだと思ったら目を見ますから、それまでは自由に話してください」と伝えます。これをやらないと「おみやげ」を用意できない。「おみやげ」があれば、記者のフラストレーションもたまらず、変な記事にはなりにくいと思います。

 もちろん取材中に、取材対応者の話で「危ういかも……」と思うことがあったら、メールやインターネットで確認して、その場か取材時間の最後に修正を伝えます。ただし事前にストーリーを作り込んで、“答え合わせ”に来ている記者の場合は、取材途中であっても軌道修正する必要があるかもしれません。

テレビ取材、「まずいな……」と思ったら

 このコラムは短いので読み終える時間は約5分ほどですが、テレビだと1つの話題につき1分にも満たないニュースがたくさんあります。長い特集だと思っても、数分だったなんてことも。放送時間の制約の中で作られるテレビのニュースでは、使われるコメントは非常に短い。ですから、その“一言”に入魂しなければなりません。

 テレビの記者の多くは、大抵、撮りたい言葉が決まっていて、その言葉が出るように質問してきます。その言葉を逃さないよう、ずっとテープを回しています。もちろん事前に質問案はいただけます。

 ただ気をつけなければならないのは、ひと通り終わった頃の「最後に1問……」です。上手なリポーターは、事前の質問案にうまく混ぜ込んできます。巧妙としか言いようがない。気持ちよく話をさせるプロですから、気を許したところにその流れで聞いてくるわけです。質問途中に「答えたらまずいな……」と思ったら、取材対応者に次のような方法でそれとなく知らせるといいでしょう。

(1)「目配せ」をする
(2)「ジェスチャー」で話さないように気づかせる
(3)取材対応者が気づかない場合は「せき払い(音で邪魔)」をする

 テレビの場合、話してしまったら終わりです。ですから、取材対応者にはどこを切り取られたとしても誤認のない発言だけで済ませるようにして、気分よく帰っていただく。それがベストです。

 事前に質問内容を伝えて、

(1)取材対応者なりの回答案を聞く
(2)大抵長く説明したくなるので、簡潔な表現を一緒に考える
(3)取材対応者自身の言葉に変換して話してもらう

 事前の記事確認ができないという前提で、取材アテンドでできることを書いてみました。最後に1つ、取材アテンドの際は、広報はカメラの後ろなどの死角に座るといいでしょう。カメラの邪魔にならないのはもちろん、「目配せ」がしやすい。お勧めです。

(写真:Aaron Amat/Shutterstock.com)