「この前はチェックできた」、それはタイアップです

 「原稿見させてください」「書き直してください」と言う広報パーソンがなぜ存在し続けるかといいますと、1つはタイアップ広告(記事体広告)の存在があると思います。

 タイアップ記事は、クライアントとしてメーカー側の宣伝・広告部門が媒体の広告営業部門を通して依頼する記事で、お金を払って「こういう記事を書いてください」「こういうインタビューをしてください」と依頼をするものです。当然記事のチェックも途中で入り、指摘内容は基本的に反映されます。さすがに現場の広告や広報でこの違いが分からない人はいないと思いますが、タイアップ記事に登場した商品企画担当者や役員からすると、「この前の記事は事前にチェックできたじゃないか」ということになって、ああだこうだとややこしい話になるのではないかと思います。

 従ってどうしても自身の言いたいことを貫きたいにもかかわらず、なかなか編集部が興味を持ってくれないのであれば、いっそ記事体広告を出すのも手だと思います。ただし、昨今は記事体広告でも必ず【PR】や【広告企画】という表記をすることになっているので、読み手からすると、本当にその新聞なり雑誌なりの中立な編集の視点で記事化されたものではない、ということは分かります。それでも何十万、何百万という部数を発行するメディアに自分たちの主張がそのまま掲載される広告は、決して悪い選択ではないでしょう(広告といえども表現のチェックはあります)。

「広報にやべー奴がいるぞ」と思われないために

 では記事チェックをしたくなるような、きわどいインタビューや売れ行きのかかった新商品のレビュー記事などに、広報はどう対処したらよいでしょうか。

 「広報とは、一局の碁なりけり」

 この名言の主は誰かというと、私です。すみません、今考えました。いえ、どこかから借用してきました。

 こう打てばこう返す、それを見越してこう打てばこう……と、何手も先を読むのが囲碁だとすると、広報もこの質問をしているのだから、こう答えてほしいのだろう、そう答えるとこう書かれるだろう、という予測が必要です。その予測精度の高い広報がいわゆる「腕のいい広報」といわれる人たちで、書かれたくないところに話をもっていかない、書いてほしいところを公平に見てもらえるよう取材記者にさりげなくヒントを送ります。こういった作業ができると、「原稿チェックさせてください」という段階でギクシャクしたやり取りをしなくて済むのだと思います。私はその域に程遠いので、どうすればそうなれるのかぜひ知りたいのですが、実際にそういう「広報の達人」を何人か知っています。

 ということで、コラム冒頭の疑問に戻ります。

 「原稿確認させてください」と編集部に言うと何が起きるのか。

 何も起きません。そして「この会社の広報にやべー奴がいるぞ」というログを残すことになります。あまりにひどいと、マスコミ関係者のSNSで名前や前後関係を伏せてボヤキの投稿をされることもあります。その媒体との長期的な関係も考え、ここは慎重にいきたいものです。


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