誰しも自分に都合の悪い事は話したくないもの。それでも広報はさまざまな情報源にアプローチして“都合の悪い”情報もつかんでおく必要があります。「人は嘘をつく」ことを理解していれば、後で大事になるような事態も避けられます。別に「広報は疑り深い」わけではないので、誤解しないでくださいね。

決してあなたのことを疑ってはいませんよ…… ※画像はイメージです(写真:fizkes / Shutterstock.com)
決してあなたのことを疑ってはいませんよ…… ※画像はイメージです(写真:fizkes / Shutterstock.com)

広報視点で捉えた2つの“嘘”

 私が2006年ごろにはまっていた海外ドラマ『Dr.HOUSE』の主人公の口癖は、「Everybody lies(人は嘘をつく)」でした。このドラマはエミー賞の脚本賞を受賞した作品なので、ご覧になった方もいるでしょう。主人公のグレゴリー・ハウスは優秀だがへそ曲がりな診断医。ハウスは「患者は自分に都合の悪い事を話さないので誤診の可能性がある」と言って患者とは直接話さず、資料や研修医がヒアリングしてきた話などを基に病名を突き止めるという話です。

 それまで「人は都合の悪い事は話さないものだ」なんて考えながらコミュニケーションをしてきたわけではないので、私にはこのドラマはとても新鮮でした。その“学び”を広報の仕事に生かそうと、社内での情報収集の際に「人は都合の悪い事は話さない」という性質を意識して動いてみました。すると情報の質が上がり、ヘマをすることが減ったのです。まさに“ハウスさまさま”です。

 そこで今回は、広報的に見ると「人は(意識をせずに、結果的に)嘘をつく(ことがある)」という点についてお伝えします。

 広報視点で捉えた“嘘”には、大きく分けて2種類あります。

(1)粉飾決算など当事者が知っていながらつく嘘

(2)保身や良く見せたいという気持ちから、自分に都合の良い事しか話さなかった結果、第三者に誤認され、嘘をついていることになってしまうケース(本人は嘘をついている意識がない、嘘をついていると思いたくない)

 (1)はいわゆる嘘ですが、これは頻繁には起きません。関係者の誰かが意図的に隠そうとしているので、発見に時間がかかる恐れがあります。この場合、対応が後手になるので大変です(関連記事「会社炎上の危機に広報はどう対応すべきか 最大の敵は『組織図』」)。ちなみに(1)の場合、広報がどの時点で第一報を受けたのかを報道を見ながら想像するのは、私の悪い趣味の1つです。

 日常的に広報が悩まされたり振り回されたりするのは(2)です。例えば広報が製品やサービスの担当者と発表会の準備をしているとします。

・「実は上司と担当者(情報収集している相手)の意見が異なる」
・「上司に相談せずに、担当者が勝手に話を進めている」
・「他部署から横やりが入る可能性がある」

 こんな込み入った内容なら、担当者は広報と特別仲が良くない限りわざわざ話さないでしょう。若い頃は相手の言うことだけを額面通り受け取って話を進め、何度もどんでん返しに合いました。固まりかけていた発表文の草案が発表会の開催数日前に、振り出しに戻ったこともあります。

 「今まで良いと言ってたのに、急に方向性が変わるなんて、ありえない」「内部でもめていると教えてくれれば、他の案も出したのに……」「なんで教えてくれなかったの~! 嘘つき~~~!!!」と何度叫んだことでしょう。

 特に大企業の広報では、社内に散在するたくさんの意見を1つに落とし込むスキルが必要になります。広報はどんでん返しを避けて落とし込むポイントを見つけるために、担当者1人だけでなく、複数の関係者から意見や状況に関する情報収集を入念に行うほうがよいでしょう。

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