広報として頭1つ出るための“飛び道具”はない

 業界でもよく話題に上る、「この人」といわれるような広報から来た連絡は、マスコミの皆さんも目を通すと思います。その選ばれし広報の方々の共通点は、マスコミとのやり取りで、やや「非効率なコミュニケーション」をしているように見えることがあります。例えばメールだけで済ませられるところを、わざわざ電話したり、直接会いに行ったり、やたら反応が速い割に丁寧でまめだったり……。中長期的に信頼関係を育てていくイメージで動かれているように思えます。こういう広報は、押しどころと引きどころの見極めも見事です。

 冒頭で書いた通り、広報の仕事は効率的にこなそうと思えば色々なツールを駆使して手間を減らせます。いいツールは活用すべきですが、人間相手の仕事なので一律なコミュニケーションだけでは、他の広報に差を付けることはできません。信頼を勝ち取るための作業はとても地味で、社内的にはやってもやらなくても大勢に影響がないものがほとんどです。

 広報の仕事は、知識として得ること自体はあまり役に立ちません。「やり方は知っているから、その時が来たらやる」は意味がないと思ってください。最低限、広報としてやるべき仕事にプラスして、「やったほうがベターなこと」をどれだけ実行するかが、メディア側からの信頼を得られるかどうかの分かれ目となります。例えば、ハードルが低いものなら下の2つ。

・記事を書いていただいたら、いち早くお礼のメールを入れる
・記事をしっかり読んで感想を伝える

 こんな簡単なことから始めればいいでしょう。明日に……と先延ばしせず、できる限り早い段階で連絡することが重要です。返信が来ないこともありますが、気にせず送りましょう。

 尊敬する広報のプロフェッショナルの方々は、他の人から見ると手間が掛かるから割愛したいと思えるようなちょっとしたことを、日々積み重ねています。頭1つ出るためには“飛び道具”はなく、こうした地道な努力しかないのかもしれません。人知れずベターだと思えることを実行し続けることは、誰もができるわけではありません。

 今回は「こんなに偉そうなことを書いてよいのか……」と自問自答しながら書きました。私もまだまだ足りないことだらけなので、そういう方々を目標にしていきたいと思っています。