SNSの監視も怠りなく

 危機対応時、マスコミに加えて近年広報が気を配らなければならない大きな対象があります。そう、SNSです。昨今は誰もが“ニュース評論家”となり得る時代なので、仮にマスコミがニュートラルなトーンで報道しても、それを否定的に解釈したり、うがった私見を加えたりした投稿で、炎上することがままあります。

 もちろんSNSには良い面もあって、各社一斉に報道したとき、世間がそのニュースをどう受け止めたかは、SNSの反応である程度知ることができます。SNS解析に関しても、かなり実用性の高いツールが出てきているので、広報部としてはそろえておきたいものです。

 以上、なんだか分かったようなことを書きましたが、私自身広報について「分かっていないな……」と感じることもしょっちゅうです。どれほど入念に準備しても、ネガティブな問い合わせの対応はいまだに慣れません。しかしそうした機会こそ、広報は「会社の顔」と意識して自分を奮い立たせなければなりません。厳しい記者とのやり取りは真剣勝負。何か自分なりに落ち着く方法を見つけておくといいでしょう。

 私の場合、準備したQ&Aは必ずプリントアウトし、質問も紙にペンでメモします。この紙とペンというのが私にとって「準備ができている」という暗示になっているのか、自然と自信が湧いてきます。広報が落ち着いていることは、こうした風雲急を告げるときには大事なことですので。

『グラップラー刃牙』に学ぶ危機管理の神髄

 さて最後に、「究極の危機管理」というものがもしあるとしたら、それは何でしょう。人気格闘技漫画『グラップラー刃牙(バキ)』(作・板垣恵介/秋田書店)に興味深いセリフがあります(同作品は画風が少々独特ですが、名言のオンパレードなのでご一読をお勧めします)。

 登場人物の1人で合気道の達人渋川剛気によると、「護身術において対戦相手の攻撃をかわして反撃するなどまだまだ。達人になると危機を無意識に回避できる能力が身に付くので、危機に出会うことすらなくなる(大意)」そうです。

 このセリフをビジネスに置き換えると、広報が危機対応をしているようでは会社経営としてはまだまだ。本来危機となるであろう事案を自然と回避できるような経営をしてこそ達人、つまりエクセレントカンパニーということなのでしょう。