「三幕構成」を意識して作られた『さよならテレビ』

佐々木 昨日、77分間のこの番組を、どこにどんなシーンが置かれているか、ラップタイムを書き留めながら分析してみたんです。そしたら、めちゃくちゃきれいな三幕構成になっていて、怖いぐらいでしたよ!(笑)

土方 本当に「三幕構成」を意識して作っています。

※三幕構成…名作コンテンツが共通に持つ法則性。1幕(問題提起)=25%、2幕(問題の複雑化)=50%、3幕(問題の決着)=25%と、全体がほぼ「1:2:1」の比率になる。参考:「名作コンテンツに共通する「三幕構成」の知られざる本質とは?

佐々木 ですよね? 全体が77分間だと、第1幕が終わるのが番組開始から19分ぐらい。構成上の“折り目(反転攻勢)”にあたるミッドポイントは、だいたい半分の38分。第3幕に移るのが58分ぐらい。その辺りにどんなシーンが来るのかを見ていったら、本当にきれいな三幕構成になっていました。

 例えば、最初のCMに入るところがまさに第1幕の切れ目で、ここまでに“問題提起”が行われている。「ドキュメンタリーって、現実なんですか?」とか、「伝えること、報道するってどういうこと?」みたいなことが描かれているんです。で、「見事だなぁ」と思ったんですが、第2幕の最初に何が来るかというと、派遣社員の渡邊雅之君がそこで登場するんですよ!

土方 新たな登場人物が……。

佐々木 そう! まさに第2幕で描かれるのは“問題の複雑化”なので、第2幕はほぼ、渡邊君が着任して退任するまでというストーリーになっている。もちろん、そんなことは番組を見ている人は気づかなくていいんですが、ものすごく心地よいテンポとリズムで話が展開していくんです。

土方 はい、これはむちゃくちゃ勉強しました(笑)。

佐々木 東海テレビや福島智之キャスターにとっては苦い記憶の「セシウムさん騒動」の話が出てくるのが、番組開始から33分ぐらいなんです。まさに構成上のミッドポイントの辺りで、これが全体の“折り目”にあたる。あそこから物事の見え方がガラッと変わるんですね。どうして福島キャスターがあんなにウジウジしていたのかとか、派遣社員の渡邊君の境遇が変わっていくとか……。

東海テレビの福島 智之 キャスター(『さよならテレビ』より) (C)東海テレビ
東海テレビの福島 智之 キャスター(『さよならテレビ』より) (C)東海テレビ

土方 初めてこんな話をしていますけど、その通りです。あそこに置きました(笑)。

佐々木 丸裸にしますよ、今日は(笑)。これまでこういう話はしていないんですか?

土方 1回もないですね。こちらからもしないですし。

佐々木 一般の視聴者はそれでいいと思うんですが、この番組ってプロが見て、プロが話題にして騒いでいる作品じゃないですか。プロ同士が見て、なんで構成論や技術論にならないのか、本当に不思議ですよ。