2003年以来、継続的に「ミラノデザインウィーク」で個展を開催してきたnendo。新作デザインや自主制作によるコンセプト作品を、毎回別の会場と異なる手法で発表し、会期前から「必見」との話題を集めてきた。2019年も大規模な個展と並行して、メーカーの新作コレクションを多岐にわたり発表した。
2019年の個展「breeze of light」は、18年に引き続き空調機器メーカーのダイキンとのコラボレーションで、「空気」をテーマにしたインスタレーションだった。前回見せた、特殊素材の可能性を探るデザインプロトタイプとは全く違うアプローチで、体感の場をつくり上げた。
会場は、複合商業施設「テノハミラノ」内にあるイベントスペース。大空間に敷き詰められていたのは、花形に切り抜かれた約17000本の偏光フィルムだ。そこへ、偏光フィルターを装着したスポット照明が角度を変えながら当たると、花の向きは変わらないのに、全体が波打つように見える。
モーター制御の照明で花の影の濃度をさまざまに変化させ、実際には空気が動いていないにもかかわらず、まるで風が吹き抜けるかのように錯覚させていた。本来は目に見えない「風」の存在を視覚化することで、新たな「空気の感じ方」を意識させる仕組みだった。
ガラスの粘性を生かした新作家具
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