カリモク家具やリッツウェルは、いわゆる大企業ではない。だが、以前から「世界」への進出を目指し、その足掛かりとして「ミラノサローネ」への出展を続けてきた。今では常連の一角を占め、国際的評価も上がっている。
ブランド創立10周年を迎えたカリモクニュースタンダード(以下KNS)。木製家具製造の技術力に定評のあるカリモク家具(愛知県東浦町)の1ブランドとして、国内外のデザイナーと組み、現代の新しい生活空間を提案する家具コレクションを充実させてきた。
「ミラノサローネ」のロー・フィエラ本会場に単独ブースを構えるのは2019年で3度目となった。今回初めて取り組んだのは照明製品だ。スツールやテーブルなどの新作家具に、木製シーリングライト3柄と2種類のテーブルランプが加わった。プロトタイプを展示したブースは、建設現場のように施工途中の壁面をむき出しにした状態で、“現在進行中”という発展的な意図を表現していた。
市内では「KNS Home and Garden」と題して隠れ家風な展示を行った。庭のある小さな部屋を新作を含めた家具コレクションでコーディネートし、簡単な食事と飲み物を振る舞って来場者を迎えていた。また、キッチンメーカーのサンワカンパニーとのコラボレーションで開発中のキッチンも、コンセプトモデルを披露。カリモクの木材加工技術によって、クリスチャン・ハースのデザインによるコンパクトなキッチンの実現を目指していた。
こうした新領域への展開を含めて、カリモク家具の加藤洋副社長は、「KNSは最低10年は続けようと決めていた。日本でアパレルと家具の市場規模があまりにも違っている現実に、伸びしろがあると考えるか、日本で家具は無理だと考えるか。ただ待っているのではなくて、カリモクが知られていない世界へ出ていってみようという挑戦だった。目標達成にはまだ遠いが、次の10年も見据えている」と継続の意思を語った。
空間全体にもっと広く関わるブランドでありたいと考えてきたKNSにとって、照明器具やキッチンへの挑戦はさらなる飛躍への一歩となりそうだ。
リッツウェル、時代を超越した家具で国際的評価
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