大日本印刷と、ドアハンドルメーカーのユニオン(大阪・西区)。どちらもミラノデザインウィークに初出展。デザインの切り口で海外へ売り込む、世界の建築家たちと共同でものづくりをする足がかりをつくるといった狙いで、日本の美意識とともに自社の技術や職人の技を存分にアピールし、存在感を示した。
大日本印刷(以下DNP)のイノベーティブデザインセンターは、空間に関わるサーフェスデザインを総合的に手掛けるインハウスデザイナー組織だ。デザインの切り口で自社技術をもっと海外へ売り込もうという一大決心が、ミラノデザインウィークへの初参加につながった。
その印刷技術を軸に、色や形に加えて仕上げ感や手触りまで生み出すデザイン開発を「Patterns as Time」と題したインスタレーションで披露。ミラノ中央駅高架下にある旧倉庫を利用した展示会場では、2組のクリエイターによる空間構成が、旧倉庫の暗闇を印象的に彩った。互いに全く異なる表現で、DNPの印刷テクノロジーを伝えていた。
2つの作品はそれぞれ、DNPが取り組む素材と技術を実際に活用したものだ。まず、デザインユニットのAtMa(アトマ)と取り組んだ「Time Printing」。これは、日本の伝統的な色彩と文様を再構築したデザイン「MidCid(ミッドシッド)」を使い、古い江戸小紋の型紙をスキャニングしてアクリル素材へ落とし込んだ。
建築集団のnoiz(ノイズ)と造り上げた空間「Patterns」では、グラデーション効果を再現できる電子ペーパー「PRISM」を搭載した背もたれ付きの椅子に、自然界の生物にヒントを得たシマウマやクラゲのような柄を映し出した。壁面や床に施された模様と干渉して、椅子の模様が浮かび上がったり消えたりする錯覚を起こす。
内外装のデザインでより大きな市場をつかむために、2019年5月にはドイツで開催される家具産業・木材加工専門の見本市「インターツム」へも出展するという。ミラノを皮切りに、DNPのサーフェスデザイナーの強い目的意識によって挑戦は続く。
職人技の実演で3万人を集める
このコンテンツ・機能は有料会員限定です。
- ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
- ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
- ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
- ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー