18年に、ミラノデザインウィークに出展して多方面で話題を呼んだソニー。単独では11年ぶりの出展となったヤマハ。対照的な2社だが、独自の技術による新しい「体験」をお披露目した点で共通していた。製品化に即つなげるというより、インハウスデザイナーの発想力を引き出すといった狙いがありそうだ。
18年にソニーはミラノデザインウィークに出展し、多方面で大きな話題を呼んだ。19年のテーマは「Affinity in Autonomy(共生するロボティクス)」。人とロボットの関係性における新しいビジョンの提案に取り組んだ。
5つのインタラクションを体験する会場構成で、ロボティクスの中枢であるイメージセンサー技術を主軸に、人との距離感を少しずつ縮めていくような展示を工夫した。
最初は、光と音が人の動きに反応するといった一般的な空間演出から始まり、2重振り子の原理で重力に逆らわず動く照明のような装置と柵越しに触れ合い、大小の球体が動き回るエリアでは靴を脱いで一緒に遊び、最後には四角いロボットが近づいてきてアンケートに答える。
「アイボ」の体験ゾーンでは、人が触ったりなでたりする姿が、アイボに取り付けたセンサーを介した画像イメージとしてリアルタイムに表示された。
こうした一連の体験は、ソニーのクリエイティブセンターに所属するデザイナーらが考え出したものだ。とはいえ商品化を前提としたプロトタイプではなく、次の開発に役立つフィードバックを得ることが大きな目的でもある。
開発メンバーの一員で、現地では来場者に対応したシニアアートディレクター前坂大吾氏は、「家具デザインが中心になるミラノデザインウィークではチャレンジングな試みだが、これからはAI(人工知能)やロボティクスが確実に人の生活に関係してくる。ライフスタイルを大きく捉え、より豊かにするために何ができるのか探求していきたい」と話す。
ボールのようなプリミティブな形から、実体として愛着が湧くアイボまで、ロボットが介在する多様な形態を示すと同時に、ソニーが強みとする技術を強くアピールする場になっていた。
心を躍動させるヤマハの4つの体験型装置
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