コミュニケーションが「価値」になる

ゆうこす 少し疑問に思ったことがあります。私はYouTubeでメイク動画を配信しているのですが、YouTubeではメイクが下手だったら見てもらえません。つまり何を配信するにしてもどこかに実力がないと再生回数は伸びません。しかし、Mirrativではプロのゲーマーではない人が配信しても見てもらえるものなのですか?

赤川 まず、モチベーションが違うと思っています。世の中にはプロゲーマーのプレー動画や、ゆうこすさんのようなメイクのノウハウ動画なども絶対必要な「情報」です。「動画」が視聴者に提供している価値としてはあくまで「情報」なのです。「情報」はたくさん見られることで高い価値を生み出します。

 Mirrativのライブ配信は、視聴者に与える価値として「コミュニケーション」を大切にしています。「コミュニケーション」という観点で考えると、「たくさん見られること=価値が高い」ではありません。Mirrativの世界では、「別に1万人に見られなくてもこの瞬間誰か1人にでも見てもらえればいい」という人のほうが多い。人は「情報」と同じくらい「コミュニケーション」を求めていているのだと思います。

ゆうこす そっか~。自分はもう数字、数字で、いかに見られるかの世界で生きてきたので、最初は全然分からなかったのですが。なるほど、理解できました。

赤川 もちろん、数字がついてきているライブ配信者も当然います。コミュニケーションがうまい人はもちろんですが、最近は複数人のプレーヤーで協力して戦ったり遊んだりする「マルチプレー」ができるゲームが増えてきているので、入れ代わり立ち代わり皆に遊び場を提供して、上手にコミュニケーションが取れる人にも視聴者がついています。

 Mirrativでは、ゲームをしながらしゃべっているだけでゲームの10連ガチャ代相当のギフトを手にする人が大量にいますが、中には月に数百万円相当に達する人もいます。

ゆうこす えっ、スマホゲームの実況で数百万円ってすごくないですか。稼げる人と稼げない人の違いは、コミュニケーション能力によるのでしょうか?

赤川 その通りです。いわゆる(17 Liveなどの)ライブ配信アプリに近いところがあって、コミュニケーション能力はとても大切な要素です。

ゆうこす ただゲームをプレーしているだけじゃ駄目なんですね。しかも、いわゆるライブ配信アプリでは顔など見た目が重要な要素ですが、Mirrativでは見た目はあまり関係ないですものね。

赤川 ゲーム実況では特に顔出しをする必要はありません。顔を出して人気になれる人は出したほうがいいですが、顔を出したくないという人も世の中にはたくさんいます。でもそういう人たちの中には、実はゲームがすごくうまかったり、歌がすごくうまかったり、いろんな才能を持っていますよね。自分の顔を映さずにライブ配信ができれば、そういう人と一緒に遊んで楽しむ(=コミュニケーション)という価値を生むことができるのです(※アバターを使ったライブ配信は後編で詳しく紹介します)。

ゆうこす 私はゲーム実況を見るといつも愕然(がくぜん)としてしまいます。私たちはテロップを入れて一生懸命編集して、かわいくして顔を出して、やっと再生回数を稼いでいるのに、ゲーム配信者はトークセンスが半端なくて、全然勝てる気がしません。脳をフル回転してゲームをしながらずっとしゃべっているのは本当にすごい。

赤川 ゲームをやりながらしゃべっているという感覚と、インスタライブでカメラを前にひたすら視聴者とコミュニケーションを取っている感覚は違います。ゲーム実況の場合、コンテンツの主役はゲームですから、しばらく無言でも自然と場が持ち、コミュニケーションが継続していく、という大きな違いがあります。

ゆうこす ありがとうございます。やはりライブ配信ではたとえゲーム実況であってもコミュニケーション能力が求められるものなのですね。後編では、これまでどのような形で企業とタイアップをしてきたのか、さらにMirrativの今後のサービス展開などについてお聞きします!

(写真/稲垣純也)


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