ゆうこすがさまざまな分野のプロフェッショナルからノウハウやスキルなどを学んでいくこの連載。今回は、前回に引き続き、ライブ配信アプリ「MixChannel(ミックスチャンネル、愛称ミクチャ)」を運営するDonuts(ドーナツ、東京・渋谷)のプロデューサー・鈴木宏之氏と、MixChannelのトップライバーである南浦芽依さんに、トップライバーが心掛けていることや、企業とのコラボ、ライブ配信の未来などを聞いた。

(編集部)
 前回は、MixChannelの特徴やトップライバーがどのように活動しているのかを聞いたゆうこす。後編では、ライブ配信をする人が心掛けたいこと、また今後3年でライブ配信業界はどのように変わっていくのか、今後を見据えた施策や取り組みなどを教えてもらった。

プロフェッショナルの紹介
今回インタビューしたのは、MixChannelを運営するDonutsのプロデューサー・鈴木宏之氏と、MixChannelのトップライバー南浦芽依さんのお二人。南浦さんは、18年1月にMixChannelでライブ配信を始め、同年開催されたMixChannelのイベントでnon-no専属読者モデルに抜てきされた。現在はファンが1万人を超え、トップライバーとしての地位を確立している。
Dountsのプロデューサー・鈴木宏之氏(左)と、MixChannelのトップライバー南浦芽依さん(右)
Dountsのプロデューサー・鈴木宏之氏(左)と、MixChannelのトップライバー南浦芽依さん(右)

1年前のコメントも覚えている

ゆうこす 前回は、ライブ配信アプリ「MixChannel」の特徴や、実際にライブ配信を行っている南浦さんに、始めたきっかけや普段どのように活動しているのかを伺いました。今回も引き続きライブ配信の実態や今後の可能性について教えていただければと思います。

 南浦さんのような大人の女性をファン層に持っている方は、若いユーザーが多いMixChannelでは珍しいと思いますが、アプリを提供する側の鈴木さんから見て、人気ライバーの共通点はありますか?

鈴木宏之氏(以下、鈴木) とにかくマメですね。訪れたファンの方、一人ひとりを覚えているなど細かい部分をケアできていると思います。

ゆうこす 確かにマメな人はモテますよね。南浦さんもマメですか?

南浦芽依さん(以下、南浦) 私は、1年前のコメントを覚えていたりします。他にも「久しぶり~」とコメントしてくる人が、本当に数カ月ぶりの人もいれば、3日ぶりの人もいる。そのように人によって返す言葉を変えたりすれば、「覚えていてくれたんだ」と思ってくれます。それだけでも印象は違います。「記憶力すごいね」と言われますが、私にとっては1対多でも視聴者にとっては1対1なので、一人ひとりに全力で向き合っています。

人気ライバーの南浦芽依さん
人気ライバーの南浦芽依さん

ゆうこす 接客と似ているかもしれませんね。南浦さんは記憶力もいいと思いますが、覚えていられる自信がない人でもノートをつけると良いと思います。例えば、SKE48の須田亜香里さんは、握手会の会話や内容をノートに書きためて次につなげることで人気を獲得して、総選挙で2位になっています。

 南浦さんにお聞きしたいのですが、読者の方の中には「ライブ配信で生計を立てる」ということに対してピンとこない方もいると思います。やんわりとした言葉でもいいので、大体どのくらい稼いでいるの聞いても大丈夫ですか?

南浦 生活はちゃんとできていますよ。以前は医療系の仕事をしていましたが、現在は辞めてライブ配信一本で生計を立てられるようになりました。収入はイベントの賞金もあるので、バラつきはありますが、多い月は国産車を1台買えるほどいただくこともあります。

ゆうこす それはすごい! トップクラスのライバーになると普通に就職するよりはよっぽど稼げますね。お金の話はどうしても生々しくなりますが、興味を持ってくれる人も増えると思います。トップユーチューバーのように夢を与えることができれば興味を持って参加してくれる人も増えそうですね。

イベント協賛で企業をPR

ゆうこす 質問は変わりますが、この連載の読者は主にビジネスパーソンです。ライブ配信が盛り上がっていることは皆さん何となく感じているでしょうが、企業のPRにどのように活用できるかはイマイチ分からない人が多いと思います。マーケティングツールという観点で見たときに、MixChannelにはどのような関わり方があるのでしょうか?

鈴木 主にイベントの協賛をしていただいたりしています。例えば、イベントを共催して、協賛金をいただく形でプロモーションをするケースが増えてきています。優勝賞金1000万円のアイドルフェス「NEXT IDOL GRANDPRIX 2019」の決勝大会を渋谷ストリームホールで開催した際にはかなり協賛もしていただけました。

 他にも、まだライブコマース機能はありませんが、今後は日本でも流行(はや)ってくると思うので、ライバーの方が好きなブランドを紹介するような形もあるかもしれません。

渋谷ストリームホールで開催された「NEXT IDOL GRANDPRIX 2019」決勝大会。優勝したモリワキユイさんには、賞金1000万円に加えて、テレビ番組やラジオ番組への出演という特典も贈られた
渋谷ストリームホールで開催された「NEXT IDOL GRANDPRIX 2019」決勝大会。優勝したモリワキユイさんには、賞金1000万円に加えて、テレビ番組やラジオ番組への出演という特典も贈られた

ゆうこす 今後、MixChannelでは、どのような機能が強化されるか可能な範囲で教えていただけませんか?

鈴木 オフィシャルなファンクラブ機能は強化していきたいですね。また先日、「神宿」さんというアイドルグループとコラボレーションし、お絵かきバトルをして、勝ったら大トロ・負けたらガリ、みたいな番組をライブ配信し、視聴者の皆さんから好評を得ました。事前準備に手間をかけず、気軽にコンテンツを提供できることがライブ配信の良さではありますが、生番組の面白さも強みの一つなので、それを生かした企画配信にも注力していきます。

ファンクラブに入会すると、会員限定ライブ配信などが視聴できる
ファンクラブに入会すると、会員限定ライブ配信などが視聴できる

ゆうこす ファンクラブの機能はとてもいいと思います! ライブ配信は一番熱量が届きやすくてコアなファンも増やせますが、基本的には1対多ですよね。ファンクラブはもう少し閉鎖的な空間でファン同士もコミュニケーションが取れます。そうなるとどんどんコアなファンが生み出せて次のステップにつながると思うので、メリットは大きいでしょうね。

 もう一つ、個人的に気になることを聞いてもいいですか? ライバー事務所を運営していると、周りの人から「どのアプリで配信をしたらいいですか?」とよく聞かれます。ただ、アプリによって特徴が違うので、何をしたいかを聞いて答えないといけません。そのような意味で、MixChannelは、どんなライバーにお薦めできますか?

鈴木 MixChannelは、前回もお話しした通りイベントを多数開催しています。雑誌のモデルや、声優オーディションへの参加権など、さまざまな方向性の企画を出しているので夢を追いかけたい人やチャンスが欲しい人には、やりがいがあると思います。また、カラオケ機能など、話す以外にもたくさんの表現方法を用意しています。

Dountsのプロデューサー・鈴木宏之氏
Dountsのプロデューサー・鈴木宏之氏

スターライバーの登場が業界を盛り上げる

ゆうこす 最後の質問になりますが、ライブ市場は今後3年以内にどんどん活性化していくと思います。スターライバーも生まれてくると思いますが、今後の展望やどのように配信をしていきたいかなど、お考えを聞かせていただけますか?

南浦 私はライブ配信のやり方を来年から少し変えるつもりでいます。スタートしたばかりでファンが20人ぐらいのときは、一人ひとりが私と話したい出来事などを持っていて、私が一つずつ打ち返しているような形でしたが、今は人数が増えて対応が難しくなっています。

 そこで来年からは、私が提供する話題で皆さんに話してもらうスタイルにシフトしたいと思っています。これまでは、リスナーさん個別の話題で会話してきましたが、今後は私の投げかけるテーマについて皆で話し合うようになれば、より多くの人に届く配信になると思います。他には配信環境も整えたいですね。機材を見直して、3年後には誰がどう見てもライブ配信専用と思われるような部屋を作りたいです。

鈴木 私は、サービスを提供する側として、「ライブ配信といえば〇〇だよね」と言われる人が一人でも出てきてほしいと思っています。HIKAKINさんのように、道行く人にも「〇〇ってライバーだよね」と認知されているような人が、MixChannelから生まれてほしいです。そうなることで、ライブ配信業界もさらに活性化していくと思います。

ゆうこす イベントやオーディションが開催されているおかげで、ライブ配信を軸にしながら他のステージでも輝けるチャンスがたくさん生まれるようになりました。「雑誌で見つけたモデルさんだけど、調べたらライブ配信もやってるんだ」といった形でライブ配信にスポットが当たれば、世間のライバーやライブ配信への認知も増えていきそうですね。本日はありがとうございました!

(写真/稲垣純也)