ゆうこすがさまざまな分野のプロフェッショナルからノウハウやスキルなどを学んでいくこの連載。今回は、ライブ配信アプリ「MixChannel(ミックスチャンネル、愛称ミクチャ)」を運営するDonuts(ドーナツ、東京・渋谷)のプロデューサー・鈴木宏之氏と、MixChannelでトップライバーとして活躍する南浦芽依さんに、MixChannelとはどんなサービスか、ライブ配信者として普段どのように活動しているのかなどを聞いた。
(編集部)
ゆうこすが手掛けるライバー事務所321には多くの若いライバーの卵が登録している。そのため、ゆうこすは若者層に人気のMixChannelに興味津々。そのMixChannelは2013年12月に動画配信サイトとしてスタート。10秒ほどの動画を作成・投稿できるサービスで、Twitterに動画投稿機能がない時代だったこともあり、10代の女性を中心に大きな支持を集めた。現在は国内で1400万人がインストールするライブ配信のプラットフォームに成長した。今回のインタビューにはトップライバーの南浦芽依さんも参加。彼女のエピソードもかなり濃い内容で、ライバー育成には欠かせない考え方を含んでおり、ゆうこすもかなり参考になったようだ。
1400万人がインストールするMixChannel
ゆうこす 本日はよろしくお願いします。この連載では、現在、ライブ配信やライブコマースのアプリを提供する事業者さんに集中的にいろいろ聞いています。まずは、鈴木さんからMixChannelの紹介をしていただけますか?
鈴木宏之氏(以下、鈴木) MixChannelは、13年12月にリリースしました。現在は、インストール数が国内だけで1400万を超えています。当初は、スマホで簡単に10秒ムービーを作れる動画配信アプリとしてスタートしました。本日お話しさせていただくライブ配信機能を追加したのは、16年10月です。ユーザー層やジャンルを広げつつ段階的にライブ配信へ注力していきました。
ゆうこす MixChannelはライブ配信市場の黎明(れいめい)期から先頭を走ってきた印象があります。現在はさまざまなライブ配信アプリが登場していますが、MixChannelの特徴は何でしょうか?
鈴木 私たちは、ライバー(配信者)の方に、インターネットの中でスターのような立ち位置になってほしいと思っています。そこでライバーが注目されるイベントやコンテストを月100本ほど企画しています。例えば、南浦さんがnon-no専属モデルに抜てきされたように、企業とコラボして行う外向きのコンテストもあれば、六本木のクラブを貸し切ったライバーパーティーを開催したこともあります。イベントの演出などにも気を配っていて、優勝者やチャンピオンを決める過程を含めて、ショーのような感じで楽しめるように工夫をしています。
ゆうこす ちなみに、ユーザーの年齢層や男女比はどのくらいですか? ライバーはわりと若い気がしますけど、視聴する側の人はどうでしょう?
鈴木 おっしゃる通り、他のライブ配信アプリよりは若い人が多いですね。高校生から25歳前後のユーザーが中心です。もちろん50代など、それより上の年齢層の方もいますよ。南浦さんのようにトップライバーと呼ばれる方は、幅広くファンを獲得しています。
南浦芽依さん(以下、南浦) MixChannelは動画配信アプリとしてスタートしました。当時は、カップル動画を編集するためにインストールした中高生が多かったと思います。その後、ライブ配信機能が付いて、動画編集をしていた子たちも使い続けているので、より若い子が多いのかなと思います。
鈴木 そうですね。編集から使い始めた大半の人は動画配信に移っていきました。最初からライブ配信アプリとしてスタートしていたらそこまで増えなかったと思います。
他にご質問のあった男女比は、ライバーだと7:3くらいで女性が多いですね。男性もメンズアイドルやホストの方など、さまざまなバックグラウンドを持った方が参加しています。視聴者の男女比は半々くらいです。一時期は85%くらいが女性でしたが、ライブ配信を始めてからは男性や年齢層の高い人も少しずつ増えてきました。
ゆうこす 女性の視聴者が多いのは意外でした。他のライブ配信アプリは、男性のほうが圧倒的に多いですよね。
では、南浦さんがライブ配信を始めたきっかけを教えていただけますか?
イベントをきっかけにライブ配信に取り組む
南浦 私は、18年の1月に、MixChannelから「ライブ配信をしてみませんか?」というアナウンスをいただいたことをきっかけに始めました。実は、アカウント自体は5年前から作っていましたが、基本的に視聴するだけでした。それこそ「ここでトップになる人はすごいな」と思いながら見ていたことを覚えています。動画も親の銀婚式の映像をアップしただけです。自分が映っていない動画ですが、なぜか20人くらいにファン登録されていました。
ゆうこす それまでは見るだけだったのに、どうして一歩を踏み出せたのですか? 公式のアナウンスだけでは、なかなか動けないですよね。
南浦 そのときは、雑誌「sweet」とのコラボ企画で誌面に載れるイベントが開催されていました。配信で頑張れば雑誌に載れるかもしれないと思って始めたのが原点です。
ゆうこす なるほど、先ほど鈴木さんもおっしゃっていましたが、イベントが増えれば増えるほど、今までライブ配信をやっていなかった人でも参加するきっかけになりますね。
鈴木 そうですね。イベントやコンテストがきっかけで始めた人もいると思います。ライブ配信は基本的にエネルギーを使うので、私たちも参加者の皆さんに頑張っていただく以上、背中を押すきっかけになるようなイベントを充実させていきたいと思っています。
ゆうこす 私もライブ配信はいろいろなアプリでやってきましたが、最初は何を話したらいいか分からなかったり、初歩的なミスもしたりしますよね。南浦さんは、配信当初苦労したことはありますか?
南浦 思い切って「初配信」みたいなタイトルにして不慣れな部分などを正直に話したところ、やり方を教えてくれる人が集まってくれるようになりました。そうやって教えてくれる方は基本的に優しくて「コメントしてあげなくちゃ」という気持ちもあったと思います。そういう意味では、特別困ったことはなく、運良く救われていましたね。
あと、私はもはや病気だと思いますが(笑)、気づいたら10時間ぶっ続けで配信したりしています。夜通し話してリスナーさんが「もう600分たっているよ」と教えてくれるんです。そしたら私も「そっか、じゃあ(これ以上)起きていたら、リスナーさんも心配するから終わろうか」と終了するような感じで、ずっと苦もなくしゃべり続けることができます。
ゆうこす 10時間連続とか考えられません。ライブ配信が天職なのでしょうね。とはいえ、好きなだけでは1位にはなれないと思います。話術や配信でこだわっている部分など、話せる範囲で教えていただけませんか?
本文中の「その後、動画配信機能が付いて」は、「その後、ライブ配信機能が付いて」に修正しました。[2019/12/24 16:00]
同様に「当初は、スマホで簡単に10秒ムービーを作れる動画編集アプリとしてスタートしました」は「当初は、スマホで簡単に10秒ムービーを作れる動画配信アプリとしてスタートしました」に修正しました。[2019/12/25 08:30]