バーチャルジャニーズのタイアップ事例

ゆうこす なるほど。今ライブ配信って、企業PRとかイベントとか、企業とコラボすることが増えていると思うのですが、SHOWROOMが今まで行った面白いタイアップ事例はありますか?

前田 バーチャルジャニーズプロジェクトと実施した「KATE」(カネボウ化粧品のブランド)とのタイアップで、面白い現象が起きました。これも虚構の話とつながりますが、化粧下地の商品を広めたいと思ったときに、ライブ配信で演者に商品の説明をさせても、言わせられている感があってうそっぽくなってしまうリスクがある。そこで、「虚構のストーリーの中に商品を入れ込もう」と考えました。

バーチャルジャニーズの海堂飛鳥と苺谷星空
バーチャルジャニーズの海堂飛鳥と苺谷星空

 ジャニーズのバーチャルキャラクター2人をマネジメントしている「前田くん」というキャラがいて、ツイッターで指令を出す。前田くんは、高校2年生なのに2人のプロデュースを行いながら、マネジャーも兼ねています。そんな前田くんが、

 「今回のテーマは、『伝える力』。世界一のアイドルを目指すにあたって、物事の本質を見抜いて魅力的に伝える能力を養っていきたい。今回、KATE様から初めてアルバイトのお仕事をいただきました! ある『モノ』の良さを2人なりに伝えてもらおうと思う」ってツイートして、

 「KATEの商品の良さをファンと一緒に調べて、1週間後にプレゼンしてね」

 という指令を出しました。

 2人は化粧下地どころか、化粧をどうやるかも知らないから、「ファンの私たちが先に買って、何がいいかを調べて2人に伝えるね」と、ファンの皆さんがまず買って調べてくださった。ファンは商品を購入して使っているうちに、この商品に愛着を持って、その結果この商品が擬人化されていって、商品を旅行に持って行って写真を撮る人が現れたりとか、夏に商品に水着を着させて「一緒に海に来ました!」ってつぶやく人が現れたりとか(笑)。認知だけではなくて、一気に「大好き」というところまで持っていく。「愛着マーケティング」と呼んでもいいかもしれませんね。

ゆうこす すごい! きっと相当売れたでしょうね。

前田 喜んでいただけたと思います。マーケティング的には、普通プロダクトプレイスメント(映画やテレビドラマなどの中で、実在の商品や企業名を表示させること)ってユーザーとのエンゲージメントをそこまでしっかりつくれない。ゆうこすと僕が商品を週1で配信して、そこにタイアップを付けて「この商品いいよね」と言っても、ファンの皆さんはきっと共感しない。商品の濃いファンをつくるという意味で、「愛着マーケ」は新しい手法として広がっていくかもしれませんね。

ゆうこす 愛着マーケにライバーを使うのはすごく有効ってことですか?

前田 相性はとてもよいと思います。基本的にファンは、ライバーが好きなものが好きだし、ライバーの夢の応援につながるならと思ってくれるから。だから、その商品が好きでもないのに、「好きです」と言うのではなく、そこにうそがないように、ストーリーの中にプロモーションを組み込む、ということです。

ゆうこす そのアイデアに脱帽です……。今回はありがとうございました! 次回は、前田さんが考えるライブ配信やライブ配信者の今、そして、未来、どんな配信者が台頭してくるのか、などについて聞いていきます!

(写真/稲垣純也、写真提供/SHOWROOM)


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