“ゆうこす”の愛称で親しまれ、若い女性を中心に絶大な人気を誇るインフルエンサーの菅本裕子さん。この連載は、進化を続けるマーケティング、特に動画やSNSを活用した消費者とのコミュニケーション方法について、ゆうこすがさまざまな分野のプロフェッショナルからノウハウやスキルを学んでいきます。

(編集部)
 SNSを使った情報発信は、企業や商品・サービスのブランドパワーを強め、認知度や好感度のアップに欠かせないものとなった。マーケティングや新規事業開発の担当者ともなれば、TwitterやInstagram、LINE、YouTubeなどを駆使し、試行錯誤を繰り返しながらコンテンツの投稿を続けているはず。とはいえ、他社よりも一歩抜きんでるためにはどうしたらよいか、悩みを抱えている企業は多いのではないだろうか。

 実はライブコマースで実績があるゆうこすも、コンテンツ、とりわけ動画作りに悩んでいるという。そこで明石ガクトさんを招いて、自分らしさやオリジナリティーを出すための動画のブランディングについて学んでもらうことにした。ファンを増やす共感できる動画、センスのいい動画とは何かなど、「いい動画」作りの根本に迫った。

明石ガクトさん(左)が考える「いい動画」とは? ゆうこすが核心を聞きました
明石ガクトさん(左)が考える「いい動画」とは? ゆうこすが核心を聞きました
プロフェッショナルの紹介
今回インタビューするのは、ミレニアル世代をターゲットに、新しい動画表現を追求したコンテンツを制作している、ONE MEDIA代表取締役の明石ガクトさん。独自の動画論を展開し、山手線まど上チャンネルや駅ナカOOHなどのデジタルサイネージ、各SNSなどのさまざまなプラットフォームに最適な動画をプロデュースしている。主な著書に、『動画2.0 VISUAL STORYTELLING』(写真右、幻冬舎刊)がある。

スタイルとそれを貫くスタンスが動画を魅力的にする

ゆうこす 先日、ONE MEDIAさんにトヨタ自動車さんの「#ありがとう平成」の動画を作っていただきましたが、実は、動画を見たフォロワーから「これ、ONE MEDIA?」っていうコメントがあったんです。5分以内という短い動画でも、「ONE MEDIAらしさ」を伝えるポイントみたいなものがあるのかなあと思ったのですが、ブランディングのコツってあるのでしょうか?

動画を構成する2つの要素
動画を構成する2つの要素

明石ガクトさん(以下、明石) 僕はよく社員に、「動画には『スタイル』と『スタンス』が必要」って話をしています。スタイルは、動画の見た目のこと。例えばタイポグラフィー。タイポグラフィーって、テロップのことを業界ではカッコつけてタイポグラフィーって言うんですけど(笑)。周囲の人には、タイポグラフィーや、文字や静止画像などが動く、モーショングラフィックスをたくさん使っているのがONE MEDIAのスタイルだね、ってよく言われます。

 でも、僕ら以外にもタイポグラフィーとモーショングラフィックスを使っている人たちは当然たくさんいます。にもかかわらず、なぜONE MEDIAっぽい動画だと言ってもらえるのかというと、スタンスがあるからなんです。動画を作るときに向き合う態度や、どういう立ち位置から何を撮ろうとしているかということを総称して、僕らはスタンスと呼んでいます。

 例えばゆうこすさんのライブ配信で言うと、いつもカメラを置いてしゃべっていて、雰囲気や洋服もかわいらしい感じがしますよね。これがスタイルです。一方スタンスは、その日あったことからさまざまなお知らせまで、モテクリエイターとしての立ち位置から発信することですね。

 スタイルは、実際の動画を分析・分解して、仕様や設計思想を明らかにするという「リバースエンジニアリング」ができるので、まねされやすいという側面があるのですが、スタンスは分かりづらい。

ゆうこす 確かに……。

明石 例えばONE MEDIAがゆうこすさんを撮るときも、必ずONE MEDIAとしてのスタンスがあるわけです。ゆうこすさんは、自分で動画を撮って配信していますが、われわれは「ONE MEDIAという目線を通して伝えられることって何だろう」ということを考えて、それを念頭に撮影をする。

 「じゃあそれはどうやるの?」って思うかもしれませんが、スタンスはそもそも明文化しにくいもの。それ故にまねされづらいんですよ。なので、その人らしい動画とか、誰が見ても「あ、これはあそこが作っているね」と分かってもらえるのは、スタイルとスタンスを掛け合わせて動画をずっと作り続けているからなんですよ。スタイルを作ることと、それを貫くスタンスの2つが合わさって化学反応をさせると、動画のオリジナリティーが生まれます。

ゆうこす スタンスは動画を作るときの立ち位置なので、誰にどんな価値というか情報を提供したいかをしっかりと考えておくことが大切なのは分かりました。一方、まねされやすいとはいえ、動画の見た目であるスタイルを決めるのはなかなか大変なんですよね。実は今、YouTuberを育てるというプロジェクトをやっていて、その子のスタイルを決めるために、たくさん面談をして、好きな雑誌の切り抜きを毎週日曜日に送ってもらっているんです。私はこの「女性誌切り抜き作戦」でスタイルをプロデュースしているのですが、ガクトさんは、これから動画を作ろうと思っている人はどうやってスタイルを決めていけばいいと思いますか?

明石 スタイルで大切なのは、「伝えたいこと」に準じること。例えば、コスメで動画を作りたい人がいます。その人にスクラップブックを作ってもらったときに、車の雑誌とかの切り抜きばっかりだったら、「全然なじまないじゃないか!」って思いますよね。「何を伝えたいのか」というテーマに合わせてスタイルを決める。

 そのときに参考として、自分が取り掛かろうとしているテーマのトピックについて、すでに制作されている同じ領域の動画やビジュアル表現などを勉強したほうが、スタイルをつかみやすい。まねるのではなく、自分にレファレンスをどんどんためていって、自分という素材とやりたいことを掛け合わせて、(人物や文字などの)動かし方や色づかいなどを考えて動画を作っていくと、何かが出てきます。でも、まねられるんですよね。これは仕方がない。スタイルはまねできてもスタンスが違うので、ちゃんとユーザーには違うものに見えているから大丈夫。スタンスを決してブラさず、スタンスから生まれるスタイルをどんどん作って更新していくことが大事だと思っています。

次ページの内容
  • 共感できる動画/できない動画、その決定的な違いとは?
  • コンテンツの役割は3つに分類できる
  • 「気持ちが伝わるというのは、すべてにおいてベストではない」
  • 依頼主が持っているコンテンツを「3つの軸」で整理するのがコツ

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