昆布のつくだ煮で50%以上の市場シェアを持つ「ふじっ子煮」や、「おまめさん」などのロングセラー商品で知られるフジッコ。昆布や豆といった伝統的な食材をベースに、売り上げは創業時から右肩上がりを続けている。なぜフジッコは強いのか、執行役員で昆布事業部長の紀井孝之さんを直撃した。

1971年発売のロングセラー、「ふじっ子煮」シリーズ。誕生50周年となった2020年には、累計販売数20億パックを突破している。安心安全へのこだわりや、昆布はすべて北海道産を使用していることも特徴だ(写真提供/フジッコ)
1971年発売のロングセラー、「ふじっ子煮」シリーズ。誕生50周年となった2020年には、累計販売数20億パックを突破している。安心安全へのこだわりや、昆布はすべて北海道産を使用していることも特徴だ(写真提供/フジッコ)

創業の商品は、とろろ昆布

小口覺(以下、小口) フジッコさんの主力商品は、昆布と大豆ですが、売り上げはどちらが大きいのでしょうか?

紀井孝之さん(以下、紀井) 昆布が事業としては一番大きいです。その次が豆で、最近はおかず事業も伸びています。あと、ヨーグルト・デザート事業があり、我々のコア事業本部はその4つの事業で構成されてます。

小口 昆布や豆といった伝統的な食材で、創業以来売り上げを伸ばし続けている。その理由を探りに来ました。

創業時からの業績。ほぼ右肩上がりで推移している(画像提供/フジッコ)
創業時からの業績。ほぼ右肩上がりで推移している(画像提供/フジッコ)

紀井 まず歴史から言うと、1960年の創業時は「富士昆布」という社名で、現在「純とろ」の名称で販売している、とろろ昆布が最初の商品でした。

昆布を薄く削って作るとろろ昆布。フジッコでは「純とろ」の名前で販売されている(写真提供/フジッコ)
昆布を薄く削って作るとろろ昆布。フジッコでは「純とろ」の名前で販売されている(写真提供/フジッコ)

小口 とろろ昆布には懐かしい思い出があります。子どもの頃、祖母がとろろ昆布にしょうゆを垂らしてお湯を入れたお吸い物をよく作ってくれました。

紀井 関西の方ですか?

小口 生まれは神戸です。

紀井 東京の方はあまりとろろ昆布を食べる習慣がないんですよ。しょうゆとお湯を入れるのは関西の文化ですね。

小口 お味噌汁やうどんにも入れますよね。おにぎりに巻いたり。

紀井 きっと同じ世代ですね。中学校が弁当だったんですけど、弁当箱を開けたらとろろ昆布が敷いてあって、蓋にも付いてるみたいな。

小口 まったく同じです。(笑)

紀井 そういう文化もだんだん途切れつつあるのですが、意外に今でも愛されていまして。先日、フジッコの好きな商品をSNS(交流サイト)でアンケート調査した結果、純とろは5位に入ってるんですよ。

フジッコ 執行役員コア事業本部昆布事業部長の紀井孝之さん。1993年入社。20年の営業職を経て、マーケティング本部(現:コア事業本部)へ異動。ブランドマネージャーとしてヨーグルト事業(カスピ海ヨーグルト)のブランドを強化。2021年「昆布事業部長」に就任。昆布製品全般の商品企画・開発・プロモーション関連を統括
フジッコ 執行役員コア事業本部昆布事業部長の紀井孝之さん。1993年入社。20年の営業職を経て、マーケティング本部(現:コア事業本部)へ異動。ブランドマネージャーとしてヨーグルト事業(カスピ海ヨーグルト)のブランドを強化。2021年「昆布事業部長」に就任。昆布製品全般の商品企画・開発・プロモーション関連を統括

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