強豪ひしめく即席麺業界。その中で、「わかめラーメン」や「スーパーカップ1.5倍」「スープはるさめ」といった独特な商品をヒットさせてきたエースコック(大阪府吹田市)。なぜ業界初となる斬新な商品をヒットさせられるのか、エースコックマーケティング部の森本潤一さんを、小口覺氏が直撃する。

エースコック マーケティング部 広告宣伝グループ課長の森本潤一さん。生産管理、資材、営業を経て現職に至る
エースコック マーケティング部 広告宣伝グループ課長の森本潤一さん。生産管理、資材、営業を経て現職に至る

業界初を連発する理由

小口覺(以下、小口) 子供の頃からエースコックさんの商品には、独特な個性を感じていました。最初から即席麺を手掛ける会社だったのですか。

森本潤一さん(以下、森本) もともとはパンの製造からスタートした会社でした。戦後、創業者が大阪の住吉でパンを焼いて、毎朝20キロほど離れた梅田までリヤカーを引いて、市場のような場所で売っていた。その後、同じ原料の小麦粉を使うビスケット製造に移りました。

小口 朝ドラにありそうなお話です。即席麺の製造はどういう流れで?

森本 今から64年前(1958年)に日清食品さんのチキンラーメンが誕生した。即席麺はこの先、需要が多くなるであろうと考え、当社では1959年に発売しました。

小口 結構早い。

森本 63年には、2種類の食感が楽しめる「ワンタンメン」を発売して大ヒット。それ以降、新しいことを業界に先駆けてやる精神を持っている会社だと思います。

1963(昭和38)年発売のロングセラー「ワンタンメン」。同社キャラクターの「こぶた」は、ワンタンメンのCMソングで有名になった
1963(昭和38)年発売のロングセラー「ワンタンメン」。同社キャラクターの「こぶた」は、ワンタンメンのCMソングで有名になった

小口 今でもSNS(交流サイト)で定期的に話題になるのが、ロングセラーの「わかめラーメン」です。

森本 わかめラーメンは来年40周年を迎えます。そのころはヘルシーなカップ麺がなく、ワカメという素材に着目した。発売当時はうどんにワカメを入れることはあっても、ラーメンに入れることはほとんどなく、さらにスープが魚介系であることも珍しかったので、販売先からは「こんな商品売れるわけない」と言われたようです。しかし創業者が売れるという確信を持って販売したところ、火がつきました。

83年発売の「わかめラーメン」。食品には珍しい緑色のパッケージで、味もCMも他社を寄せ付けない独自性がある
83年発売の「わかめラーメン」。食品には珍しい緑色のパッケージで、味もCMも他社を寄せ付けない独自性がある

小口 なぜヒットしたのでしょうか?

森本 やはりコマーシャルの影響は大きかったと思います。石立鉄男さんの「わかめ好き好きピチピチ~」という。

小口 「お前はどこのわかめじゃ?」ですね。ワカメに話しかけるインパクトは強烈でした。ヘルシー志向ということは、女性がターゲット?

森本 即席麺は、基本的にはオールターゲットです。ただ、それまでは男性寄りの商品が多かったところ、ヘルシーなイメージにより女性にも相当受け入れられました。ワカメ独特の食感と麺との相性もあって、唯一無二な商品になりました。

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