「日本一のエンタメ鉄道」を標榜し、ジギャグ(自虐+ギャグ)路線を突っ走ってきた銚子電気鉄道(千葉県銚子市)。一発狙いの映画制作「電車を止めるな!」を公開し、ついには女性車掌の写真集まで発売した。ソーシャルゲームとのコラボなど、次々と新企画を繰り出す竹本勝紀社長を、小口覺氏が直撃する。
映画は赤字か黒字か?
小口覺(以下、小口) この連載で前回取材させていただいたのは、まだ映画「電車を止めるな!」の完成前でしたが、投資は何割ぐらい回収されましたか?
竹本勝紀さん(以下、竹本) 耳が痛い……。まだ始まったばかりですよ。公開からたったの1年。
小口 ロングランではありますね。
竹本 最初は制作費300万円でやるつもりだったんです。300万円の制作費が30億円超の興行収入になった「カメラを止めるな!」(2017年公開)の二番煎じを狙った自分が悪いんですけど、300万円じゃ済まないわけですよ。300万円が500万円になり、1000万円になり、満足のいくように撮り直しをしたら、2000万円を超えてしまった。今のところ(21年10月末)、回収できたのは600万円ぐらいじゃないですかね。
小口 映画は面白かったですけどね。
竹本 ただ、映画の上映会で皆さんが銚子電鉄の商品である「ぬれ煎餅」や「まずい棒」を買ってくれるんです。それを入れると、銚子電鉄にとってはプラス。会社としては全くお金を出していませんから。
小口 映画の制作費はクラウドファンディングで集めたお金と、社長個人の出資なんですね。
竹本 個人的には出資を全然回収できていない。ただ、上映会での銚電グッズの売り上げもあって、銚子電鉄としては例年よりも赤字を大幅に縮小できました。
小口 映画は無駄じゃなかった。そろそろ動画配信サービスでの配信が始まるのかなと思いましたが、グッズの売り上げを考えると劇場公開を止めるわけにはいきませんね。
竹本 これまで1万人以上にご鑑賞いただきましたが、もっと多くの人に見ていただきたいですね。
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